特養施設長になって8か月|実際にやって分かった仕事内容・大変なこと・やりがい
こんにちは。
現役の特別養護老人ホーム施設長として働いている「施設長のライフノート」です。
私は2025年12月から、特別養護老人ホームの施設長として働いています。
施設長になる前は副施設長として働いていたため、施設長がどんな仕事をしているのかはある程度分かっているつもりでした。
しかし、実際に自分が施設長になってみると、
「外から見ているのと、自分が最終的に判断する立場になるのとでは全然違う」
ということを感じています。
施設長になって約8か月。
採用、退職、職員面談、事故対応、ご家族対応、行政対応、人員不足、設備トラブルなど、本当に色々なことがありました。
今回は、
「特養の施設長って実際何をしているの?」
という疑問に、現役施設長としての実体験を交えて答えてみたいと思います。
これから介護施設の管理職を目指している方にも参考になれば嬉しいです。
この記事を読んでほしい人
- 特養の施設長がどんな仕事をしているのか知りたい
- 介護施設で管理職を目指している
- 主任・副主任・リーダーとして働いている
- 将来的に施設長になりたい
- 施設長の大変なことややりがいを知りたい
そんな方に向けて、できるだけリアルに書いていきます。
特養施設長って何をする人?
施設長になる前の私は、
「施設全体を管理する人」
くらいのイメージを持っていました。
もちろん間違いではありません。
ただ、実際にやってみると、仕事内容は想像以上に幅広いです。
私が普段関わっている仕事だけでも、
- 施設の稼働管理
- 職員の採用
- 職員の退職対応
- 人員配置
- 職員面談
- 労務管理
- 事故対応
- ご家族対応
- 苦情対応
- 行政への報告
- 本部への報告
- 運営指導への対応
- 委員会運営
- 感染症対策
- BCP・防災
- 設備・修繕
- 他部署との調整
- 施設内の最終判断
などがあります。
こうして並べてみると、本当に何でも屋です。
ただし、施設長自身がこれらをすべて一人で実務として行うわけではありません。
相談員、ケアマネジャー、看護師、介護職、管理栄養士、機能訓練指導員、事務職など、それぞれの専門職がいます。
施設長の仕事は、
「自分ですべてをやること」ではなく、「施設全体がうまく動くようにすること」
なのだと、最近は感じています。
施設長になって一番変わったのは「決める立場」になったこと
副施設長時代と施設長になってからで、一番違うと感じるのがこれです。
最終的に自分が決めなければならない。
例えば現場から、
「この職員についてどう対応しますか?」
「ご家族からこういう要望が来ています。」
「この事故は行政報告しますか?」
「この設備を修理しますか?」
「この応募者を採用しますか?」
と相談されます。
もちろん、上司や本部、専門職に相談することもあります。
しかし、施設内の責任者として、
「施設としてどうするのか」
を決めなければならない場面が本当に増えました。
そして介護施設の運営には、明確な正解がない問題がたくさんあります。
Aを選んでもメリットとデメリットがある。
Bを選んでもメリットとデメリットがある。
そんな中で、
「今ある情報では、こちらが一番良い」
と判断して進めなければなりません。
これが施設長になって最も難しいと感じていることの一つです。
実際に施設長になって多かった仕事
①人に関する仕事
施設長になって感じたのは、
人に関する仕事がものすごく多い
ということです。
介護施設は、人が人にサービスを提供する仕事です。
そのため、人材の問題はそのまま施設運営の問題になります。
採用面接をする。
入職した職員の状況を確認する。
職員同士の問題を調整する。
遅刻や欠勤が続く職員と面談する。
体調面などから勤務継続が難しい職員と話をする。
退職の申し出があれば話を聞く。
そして一人退職すれば、今度はシフトや人員配置を考えなければなりません。
施設長になる前は、
「施設長=経営や運営の仕事」
というイメージが強かったのですが、実際には、
施設運営の中心にあるのは人
だと感じています。
②事故が起きたときの対応
介護施設では、どれだけ注意していても事故を完全にゼロにすることは難しいです。
転倒、転落、誤薬、誤嚥など様々なリスクがあります。
事故が起きた際には、まずご本人の安全確保や必要な医療対応が最優先です。
そのうえで、
- 何が起きたのか
- ご家族へどう説明するのか
- 行政への報告が必要か
- 本部への報告が必要か
- 原因は何だったのか
- 再発防止策をどうするか
- 職員への共有をどうするか
などを考えます。
実際に施設長になってから、大きな事故への対応も経験しました。
その中で強く感じたのは、
事故そのものだけでなく、「事故が起きた後に施設がどう対応するか」が非常に重要
だということです。
初動が遅れる。
説明が曖昧になる。
記録が残っていない。
職員によって説明が違う。
こうしたことが重なると、ご家族との信頼関係にも影響します。
施設長として、事故が起きない仕組みを作ることはもちろんですが、事故発生後に組織として適切に動ける体制を作ることも重要だと感じています。
③ご家族への対応
施設長になると、ご家族と直接お話しする機会も増えます。
普段の相談は相談員やケアマネジャーが中心となって対応してくれています。
しかし、
- 大きな事故
- 苦情
- 施設としての判断が必要な要望
- 今後の方針についての説明
などでは施設長が対応することがあります。
ここで難しいのは、
施設側の事情だけで考えないこと。
施設には施設のルールや事情があります。
一方、ご家族にもこれまでの経緯や感情があります。
すべての要望に応えることはできません。
だからといって、
「施設のルールなので無理です」
だけで終わらせてしまえば、納得していただけないこともあります。
まず話を聞く。
何に困っているのかを理解する。
そのうえで施設としてできること、できないことを説明する。
このバランスは今でも難しいと感じます。
④行政・本部への報告
施設長になって増えた仕事の一つが、
「報告する仕事」
です。
事故。
稼働状況。
人員。
感染症。
設備。
運営上の問題。
施設の中だけで完結しないことはたくさんあります。
そして管理職になって感じるのが、
悪い情報ほど早く報告した方がいい
ということです。
問題が解決してから報告しようとすると、報告が遅れます。
まず、
「こういうことが起きています」
と共有する。
そのうえで、
「現在こう対応しています」
「今後こうする予定です」
と続ける。
施設長になってから、報告のスピードは以前より意識するようになりました。
⑤施設の数字を見る
施設長になると、介護の質だけではなく、
施設を継続して運営するための数字
も見なければなりません。
例えば、
- 入居率・稼働率
- 空床
- 入退居
- ショートステイの利用状況
- 人件費
- 残業時間
- 加算
- 修繕費
- 収支
などです。
良い介護を提供するためにも、施設経営が安定していることは重要です。
ただ、
「数字だけを追えばいい」という話でもありません。
稼働率だけを追って職員が疲弊すれば、長期的には施設運営が悪化します。
逆に、
「介護だから利益なんて考えなくていい」
でも施設は続きません。
介護の質、職員の働きやすさ、施設経営。
この3つのバランスを取ることも施設長の重要な仕事だと思っています。
施設長になって大変だったこと
①問題は予定表を見てやってこない
これが施設長になって最も実感したことかもしれません。
朝、
「今日はこの仕事を終わらせよう」
と予定を立てます。
しかし出勤すると、
「職員が休みました。」
「設備が壊れました。」
「ご家族から電話です。」
「事故がありました。」
「職員から相談があります。」
と予定外のことが起こります。
気がつけば、
予定していた仕事にほとんど手をつけられず一日が終わる。
そんな日もあります。
だから最近は、
予定通りに仕事を進める能力だけではなく、
予定外のことが起きても優先順位を付け直せる能力
が管理職には必要なのだと思っています。
②人の問題には正解がない
設備が壊れたのであれば、修理すれば解決することがあります。
しかし、人の問題はそう簡単ではありません。
同じことを伝えても、
Aさんには響く。
Bさんには響かない。
職員同士のトラブルでも、双方から話を聞けば言い分があります。
だから、
「誰が悪いか」を決めるだけでは問題が解決しないことが多い。
どうすれば同じことが起きにくくなるのか。
どうすればチームとして働けるのか。
そこまで考える必要があります。
これは施設長になって難しいと感じている部分です。
③「嫌われたくない」ではできない
管理職になれば、時には職員に厳しいことを伝えなければなりません。
遅刻。
勤務態度。
不適切なケア。
ルール違反。
改善してほしいことがあれば、伝える必要があります。
以前の私は、
「できれば嫌われたくない」
という気持ちが強かったと思います。
今でも嫌われたいわけではありません。
ただ、
「嫌われないこと」と「管理職として必要なことを伝えること」は別
だと考えるようになりました。
何も言わない方が、その場では楽です。
しかし、それによって他の職員や入居者に影響が出るのであれば、管理職として伝えなければなりません。
最近は、
人ではなく行動について話す
ことを意識しています。
「あなたはダメだ」
ではなく、
「この行動は改善する必要があります」
と伝える。
まだまだ勉強中ですが、施設長として必要な力だと思っています。
施設長になって良かったこと・やりがい
大変なことばかり書きましたが、もちろん施設長になって良かったこともあります。
①施設を変えることができる
施設長になると、自分の考えを施設運営に反映できる範囲が広がります。
もちろん何でも自由にできるわけではありません。
法人の方針や制度、予算など様々な制約があります。
それでも、
「ここを変えた方が職員が働きやすい」
「この仕組みは改善した方がいい」
と思ったことを実際に動かせるのは、施設長という仕事の面白さだと思います。
②職員の成長を見ることができる
職員との面談や日々の仕事の中で、
以前できなかったことができるようになる。
役職者として成長する。
自分から意見を出してくれる。
そんな姿を見ると嬉しくなります。
施設長自身が直接介護をする時間は以前より少なくなりました。
その代わり、
職員が良い介護をできる環境を作ることで、間接的に多くの入居者を支える。
これが施設長という仕事なのかもしれません。
③自分自身がものすごく鍛えられる
施設長になってから、
「こんなことまで経験するのか」
と思うことが何度もありました。
正直、
「施設長にならなければ経験しなくて済んだのに」
と思うようなこともあります。
ただ、それらを一つずつ経験することで、
判断力。
伝える力。
人を見る力。
問題を整理する力。
報告する力。
決断する力。
色々な能力が鍛えられている実感があります。
大変だからこそ、成長できる仕事なのだと思います。
8か月で一番変わった考え方
施設長になる前は、
「施設長は問題を解決する人」
だと思っていました。
今は少し違います。
施設長の仕事は、
「自分ですべての問題を解決すること」ではない。
と思っています。
専門的なことは専門職に聞く。
現場のことは現場職員から聞く。
分からないことは上司や本部に相談する。
そして情報を集めたうえで、
誰が、いつまでに、何をするのかを決める。
その結果を確認する。
この方が組織として強くなります。
施設長が全部抱えてしまえば、
「施設長がいないと何も進まない施設」
になってしまいます。
まだ自分自身もつい仕事を抱えてしまうことがありますが、
「自分がやる」から「組織でできるようにする」
へ変えていくことが、今の私の課題です。
施設長を目指している人へ
もし今、
「いつか施設長になりたい」
と思っている介護職や管理職の方がいれば、私はぜひ挑戦してほしいと思います。
ただ、
介護技術が高ければ施設長になれる。
長く働いていれば施設長になれる。
という仕事ではありません。
むしろ、
- 人の話を聞く
- 分からないことを調べる
- 数字を見る
- 期限を守る
- 報告する
- 人に任せる
- 必要な時に決断する
- 間違えたら修正する
こうした基本的なことの積み重ねが重要だと感じています。
そして意外と大切なのが、
「分かりません」と言えること。
施設長だから全部知っていなければならない。
そんなことはありません。
私も分からないことだらけです。
分からないことを知ったふりするより、
「分からないので確認します」
と言って調べる方が、結果として正しい判断につながります。
これからの目標
施設長になって約8か月。
まだまだ、
「施設長になった」ではなく「施設長を勉強している途中」
という感覚です。
まずは施設長として経験を積み、施設運営についてもっと学びたいと思っています。
そして、このブログでも、
成功した話だけではなく、
- 失敗したこと
- 悩んだこと
- 判断に迷ったこと
- うまくいったこと
- 施設長になって初めて知ったこと
を発信していきたいと思っています。
ネットで調べれば、介護制度について説明しているサイトはたくさんあります。
でも、
「実際に施設長をやってみてどうなの?」
という部分は、経験した人にしか書けません。
そこをこのブログでは大切にしていきたいと思っています。
まとめ|施設長は「全部できる人」ではなく「最後まで向き合う人」
施設長になって8か月。
今の時点で私が感じている施設長の仕事を一言で表すなら、
「施設で起きることから逃げずに、最後まで向き合う仕事」
です。
自分一人ですべてを解決する必要はありません。
でも、
「自分には関係ない」
とは言えません。
事故が起きた。
職員が辞める。
ご家族から苦情が入る。
人員が足りない。
設備が壊れる。
数字が悪くなる。
色々なことが起きます。
そのたびに、
「じゃあ、どうする?」
を考える。
必要な人に相談する。
決める。
動く。
確認する。
そして上手くいかなければ、また修正する。
その繰り返しが施設長の仕事なのだと思います。
大変な仕事です。
それでも、自分たちの判断や取り組みによって、
職員が働きやすくなったり、
入居者の生活が良くなったり、
施設が少しずつ良い方向へ進んだりする。
そこには大きなやりがいがあります。
まだ施設長8か月。
数年後にこの記事を読み返したとき、
「当時はこんなことを考えていたんだな」
と思えるくらい成長していたいと思います。
これからも現役施設長として経験したことを、このブログで発信していきます。
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