介護現場の業務効率化におすすめのグッズ7選|特養施設長が実際に使って感じたメリット
こんにちは。「施設長のライフノート」です。
介護現場では、
「もっと利用者さんと話す時間を作りたい」
「記録や間接業務に追われている」
「忙しくて毎日残業になってしまう」
こんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
介護現場の業務効率化というと、最近ではICTや介護ロボットなどが注目されています。
実際、厚生労働省も介護テクノロジーの活用による介護サービスの質の向上、職員の負担軽減、高齢者の自立支援を推進しています。
しかし、業務効率化は高額なシステムを導入しなければできないものではありません。
ちょっとした道具を変えるだけでも、毎日繰り返している「小さなムダ」を減らすことができます。
今回は、私自身が介護現場で働いてきた経験から、
「これは便利だった」
「現場の負担軽減につながった」
と感じるものを7つ紹介します。
この記事はこんな方におすすめ
- 介護施設で働いている方
- 介護現場の業務を効率化したい方
- 職員の負担を減らしたい管理職・リーダー
- 利用者と関わる時間を増やしたい方
介護現場の業務効率化で大切なのは「楽をすること」ではない
最初に、私が施設長として大切だと思っていることを書いておきます。
介護現場における業務効率化の目的は、
「職員が楽をすること」だけではありません。
本当の目的は、
ムダな作業を減らして、本来必要なケアに時間を使えるようにすること
だと思っています。
例えば、毎日5分かかっている作業を2分にできれば、1回ではたった3分の削減です。
しかし、10人、20人、365日と積み重なれば非常に大きな時間になります。
そこで生まれた時間を、
- 利用者との会話
- 個別ケア
- 記録
- 職員同士の情報共有
- 定時退勤
などに使えるようにする。
これが介護現場における業務効率化の理想だと考えています。
介護現場の業務効率化におすすめのグッズ7選
①介護ポーチ
まずおすすめしたいのが「介護ポーチ」です。
介護職は意外と持ち物が多い仕事です。
- ボールペン
- メモ帳
- PHS・スマートフォン
- インカム
- 手袋
- 小物類
これらをすべて制服のポケットに入れていると、必要なものを探す時間が発生します。
また、胸ポケットに硬いものを入れたまま介助すると、利用者に接触する危険もあります。
介護ポーチを使用して、
「何をどこに入れるか」
まで決めておけば、必要なものをすぐ取り出せます。
こんな業務を効率化できる
- 文房具を探す時間
- 必要物品を取りに戻る時間
- インカムや端末の持ち運び
特にインカムやスマートフォンを使用する施設では便利です。
ただし、移乗介助などの際にポーチ自体が利用者へ接触しないよう、装着位置には注意しましょう。
②自動撹拌機・ハンドミキサー
嚥下機能が低下した方に、とろみをつけた飲み物を提供している施設は多いと思います。
1杯だけならそれほど負担ではありません。
しかし、
10人、20人分を毎食準備するとなると話は変わります。
とろみ剤は混ぜ方によってダマになることもあり、均一に仕上げるには意外と時間がかかります。
そこで便利なのが、小型の自動撹拌機やハンドミキサーです。
こんな業務を効率化できる
- とろみ飲料を作る時間
- 大量の飲み物を撹拌する負担
- 職員による仕上がりのばらつき
ただし、ここは重要です。
とろみは「早く作れればいい」というものではありません。
使用しているとろみ剤の説明書や、言語聴覚士・看護師等による評価、施設で決めた濃度や作成方法に従う必要があります。
効率化のために、安全性を犠牲にしてはいけません。
③体温測定を効率化できる体温計
介護施設では日常的にバイタル測定を行います。
感染症流行時など、多くの利用者の体温を確認しなければならない場面では、測定時間の積み重ねが大きな負担になります。
そこで、用途に応じて測定時間の短い体温計などを活用することで、バイタル測定業務を効率化できます。
ただし、ここも元の記事から考え方を変えたいポイントです。
「非接触型なら何でもいい」というわけではありません。
測定機器にはそれぞれ特性があります。
普段と違う値が出た場合や発熱が疑われる場合などは、施設で定めた方法で再測定することも重要です。
こんな業務を効率化できる
- 日常的な検温
- 大人数のバイタルチェック
- 感染症発生時の健康観察
「速さ」と「正確性」の両方を考えて運用しましょう。
④排泄予測支援機器「DFree」
次は、少し本格的な介護テクノロジーです。
DFreeは、超音波センサーを使って膀胱内の尿のたまり具合を可視化し、排尿のタイミングを把握するための機器です。メーカーによると医療機器ではなく、排泄予測を支援する機器として提供されています。
排泄ケアでは、
「とりあえず2時間ごとにトイレへ行く」
という一律のケアになってしまうことがあります。
しかし、本来排泄のタイミングは人によって違います。
排泄予測機器を活用することで、
- 排泄パターンの把握
- トイレ誘導のタイミングの検討
- 不必要なトイレ誘導の削減
- おむつ交換タイミングの検討
- 自立排泄の支援
などにつなげることができます。
厚生労働省の「介護テクノロジー利用の重点分野」にも、**排泄支援(排泄予測・検知)**が位置づけられています。
私自身、こういった機器の価値は、
「トイレ誘導を減らすこと」ではなく、「その人に合った排泄ケアを考えるためのデータが取れること」
だと思っています。
⑤離床センサー・見守りセンサー
介護施設では、転倒リスクの高い利用者への対応が大きな課題になります。
「さっきまで寝ていたのに、数分後には立ち上がっていた」
という経験がある介護職の方も多いのではないでしょうか。
そこで活用されているのが、
- ベッドセンサー
- 車椅子センサー
- 見守りセンサー
- 睡眠センサー
などです。
現在では、単純に「立ったら鳴る」だけではなく、利用者の状態を把握してケアにつなげる機器も増えています。
厚生労働省も「見守り・コミュニケーション」を介護テクノロジーの重点分野の一つとしています。
ただし、センサーを設置しただけではケアの質は上がりません。
重要なのは、
「なぜこの人は立ち上がったのか?」
を考えることです。
- トイレに行きたい
- 部屋へ戻りたい
- 長時間座っていてお尻が痛い
- 不安になった
- 何か探している
こうした理由を分析し、先回りしたケアにつなげる。
センサーは利用者を「座らせておくための道具」ではなく、行動を理解するための道具として使うことが大切です。
⑥クッション材・保護材
非常に地味ですが、現場で役立つのがクッション材や保護材です。
高齢者は皮膚が脆弱になっていることが多く、わずかな接触でも表皮剥離や内出血につながることがあります。
ベッド柵や家具など、接触する可能性が高い場所について環境を見直すことで、事故予防につながる場合があります。
こんな場所をチェック
- ベッド周囲
- ベッド柵
- 車椅子
- テーブル
- 壁の角
- よく手足が接触する場所
ただし、何でもクッション材を付ければいいわけではありません。
利用者の動線や状態をアセスメントし、必要な場所に使用することが重要です。
また、機器の可動部分などに自己流で取り付けると、かえって事故につながる可能性もあるため注意が必要です。
⑦利用者に合った介護用コップ
最後は「介護用コップ」です。
「コップなんて何でもいいのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、利用者に合ったものを選ぶだけで、介助量が大きく変わることがあります。
例えば、
- コップを倒してしまう
- 握力が弱い
- 頸部を動かしにくい
- 自分でコップを傾けにくい
- 一度に大量に口へ入れてしまう
など、困りごとは人によって違います。
そこで、
- 持ち手が大きいもの
- 軽量なもの
- 倒れにくいもの
- 飲み口が工夫されたもの
など、その人の状態に合わせて選択します。
こんな業務を効率化できる
- 飲水介助
- こぼした水分の清掃
- 飲み物の作り直し
何より、
自分で飲める人が自分で飲める
という自立支援につながるのが大きなメリットです。
便利グッズを導入するときに施設長として考えていること
ここまで7つ紹介しましたが、
「便利そうだから買う」
だけでは、施設の業務改善はなかなか成功しません。
私が大切だと思うのは、
「何の課題を解決するために導入するのか?」
を明確にすることです。
例えば、
「トイレ誘導に時間がかかっている」
↓
「なぜ時間がかかっている?」
↓
「定時誘導で空振りが多い」
↓
「排泄パターンを把握できないか?」
↓
「排泄予測機器を試してみよう」
という順番です。
商品ありきではなく、課題ありき。
これが非常に重要です。
厚生労働省も介護テクノロジーの導入・定着支援を進めていますが、テクノロジーそのものを目的にするのではなく、業務改善やケアの質向上につなげる視点が重要だと私は考えています。
まとめ|小さな効率化の積み重ねが介護現場を変える
今回は、介護現場の業務効率化におすすめのグッズ・機器を7つ紹介しました。
- 介護ポーチ
- 自動撹拌機・ハンドミキサー
- 体温測定を効率化できる体温計
- 排泄予測支援機器
- 離床センサー・見守りセンサー
- クッション材・保護材
- 利用者に合った介護用コップ
介護現場の生産性向上というと、ICTやAIなど大掛かりなものを想像しがちです。
しかし、
「毎日やっている小さなムダを一つ減らす」
ことも立派な業務改善です。
そして、効率化によって生まれた時間を利用者とのコミュニケーションや個別ケアに使えれば、職員だけでなく利用者にとってもメリットがあります。
介護の質を落として仕事を減らすのではなく、ムダを減らして介護の質を上げる。
これからも、そんな視点で介護現場の業務改善を考えていきたいと思います。

