介護施設で利用者が亡くなったとき、家族にかける言葉とは?施設長が解説
はじめに
こんにちは!
**「施設長のライフノート」**です。
私は現在、特別養護老人ホームで施設長をしています。
今回は、**「介護施設で利用者様が亡くなられたとき、ご家族にかける言葉」**についてお話しします。
介護施設で働いていると、利用者様とのお別れを経験することがあります。
特に特別養護老人ホームでは、看取り介護を行う施設も多く、ご本人やご家族と最期の時間を過ごす機会があります。
そんなとき、職員から相談されることがあります。
「ご家族に、どのような言葉をかければよいのでしょうか?」
私自身も、介護施設で働き始めた頃は、どのような言葉をかければよいのか悩んだ経験があります。
悲しんでいるご家族に、何か声をかけたい。
でも、何を伝えればよいのか分からない。
不用意な言葉で傷つけてしまわないだろうか。
そう考えると、言葉が出てこなくなることもあります。
今回は、施設長として看取りに関わる中で、私自身が大切にしている声かけや、ご家族への接し方についてお伝えします。
📝 施設長ノート
利用者様が亡くなられたとき、ご家族に何を伝えるべきなのか。
私も、これまで何度も考えてきました。
そして今、施設長として大切にしているのは、上手な言葉を探すことよりも、相手の気持ちを尊重することです。
ご家族の悲しみや思いは、それぞれ違います。
だからこそ、決まった言葉を伝えるだけではなく、その場の状況やご家族との関係性を大切にしたいと考えています。
介護施設で利用者が亡くなったとき、ご家族にかける言葉の例
介護施設で利用者様が亡くなられたとき、ご家族にどのような言葉をかければよいのか、悩む職員は少なくありません。
私自身も、これまでの経験の中で、言葉の選び方の難しさを感じてきました。
例えば、ご家族には次のような言葉をお伝えすることがあります。
「このたびは、心よりお悔やみ申し上げます。」
「〇〇様とご一緒に過ごさせていただき、ありがとうございました。」
「私たちも〇〇様との時間を大切に思っております。」
「何かお手伝いできることがありましたら、お声がけください。」
ただし、これらの言葉を必ず伝えなければならないわけではありません。
ご家族との関係性や、その場の状況によって、適切な言葉は変わります。
涙を流されているご家族に対して、無理に話しかける必要もありません。
静かにそばにいることが、支えになる場合もあると思います。
避けたい声かけとは?
私が特に気をつけているのは、ご本人やご家族の気持ちを決めつけないことです。
例えば、
「きっと安心して旅立たれたと思います」
「もう苦しまなくて済みますね」
といった言葉です。
どちらも、相手を思いやる気持ちから出てくる言葉かもしれません。
しかし、ご家族によっては、複雑な思いを抱かれることもあります。
ご本人がどのように感じていたのか、私たちが断定することはできません。
だからこそ、私はご本人の気持ちを推測するよりも、ご家族への感謝や、これまで一緒に過ごした時間への思いを伝えるようにしています。
大切なのは、正しい言葉を探すことよりも、ご家族の気持ちを尊重すること。
施設長として、職員にも伝えていきたい考え方です。
ご逝去時の声かけに正解はない
最初にお伝えしたいのは、「絶対に正しい言葉」はないということです。
100人いれば、100通りの人生があります。
ご家族との関係性も違えば、これまで過ごしてきた時間や、最期に対する考え方も異なります。
同じ言葉であっても、安心される方もいれば、つらく感じる方もいるかもしれません。
そのため、私はマニュアルどおりの言葉を伝えることだけが、正しい対応だとは考えていません。
もちろん、基本的なマナーや言葉遣いは大切です。
しかし、それ以上に大切なのは、目の前のご家族がどのような気持ちでいるのかを考えることだと思います。
言葉が見つからないときは、無理に何かを伝えようとしなくてもよいのではないでしょうか。
静かに寄り添うことも、大切な対応の一つです。
看取りの場面で大切にしていること
危篤時の声かけ
危篤状態になると、呼びかけに対する反応が少なくなる方もいます。
意識が低下した状態でも、周囲の声が届いている可能性はあります。
ただし、どの程度聞こえているのかを、外から判断することは難しいものです。
だからこそ私は、声が届いている可能性を大切にしながら、普段と変わらない穏やかな声で話しかけるようにしています。
例えば、
「〇〇さん、こんにちは。」
「今日は娘さんが来てくださいましたよ。」
「私たちはそばにいますよ。」
といった言葉です。
特別な言葉を用意する必要はありません。
これまで一緒に過ごしてきた利用者様だからこそ、普段と変わらない接し方を大切にしたいと思っています。
「頑張って」は使うべき?
終末期の利用者様に対して、「頑張って」と声をかけるべきか。
これは、職員によっても考え方が分かれるところだと思います。
私は、終末期の利用者様に対しては、なるべく使わないようにしています。
長い人生を歩んでこられた利用者様に、これ以上頑張ることを求めるような言葉は、できるだけ避けたいからです。
その代わりに、
「ありがとうございます。」
「そばにいますよ。」
といった言葉を選ぶことがあります。
もちろん、ご家族が「頑張って」と声をかけることを否定するものではありません。
ご家族だからこそ伝えたい思いもあるはずです。
大切なのは、誰が、どのような思いで言葉を伝えるのかということだと思います。
ご逝去後、ご本人への最後の声かけ
医師による死亡確認が行われたあとも、私は利用者様への敬意を忘れないようにしています。
最後に、心の中でお礼を伝えることがあります。
「長い間、本当にありがとうございました。」
「お疲れさまでした。」
「ゆっくり休んでください。」
これまでの思い出を振り返りながら、静かに感謝を伝えます。
利用者様との関わりは、ご逝去によって突然、何もなかったことになるわけではありません。
一緒に過ごした時間や、その方から教えていただいたことは、私たちの中に残っています。
だからこそ、最後まで一人の人として、敬意を持って接したいと考えています。
ご家族への対応で施設長が意識していること
ご家族の感情を決めつけない
ご家族への対応で私が最も大切にしているのは、相手の気持ちを決めつけないことです。
涙が止まらない方もいれば、気丈に振る舞われる方もいます。
事務手続きを淡々と進めようとされる方もいます。
悲しみの表れ方は人それぞれです。
涙を流していないからといって、悲しんでいないわけではありません。
反対に、涙を流されているからといって、すぐに励ましの言葉が必要とも限りません。
私はまず、ご家族の様子を見ながら、言葉を選ぶようにしています。
例えば、
「最期までそばで過ごしてくださり、ありがとうございました。」
「私たちも〇〇様との大切な時間をご一緒させていただき、ありがとうございました。」
といった言葉です。
ご家族が話をしたい様子であれば、思い出やお気持ちを伺うこともあります。
反対に、静かに過ごしたい様子であれば、必要以上に話しかけないことも大切だと思います。
職員が涙を流してもよいのか
新人職員から、
「利用者様が亡くなられたとき、泣いてはいけませんか?」
と聞かれることがあります。
私は、自然にあふれる涙であれば、悪いことではないと思っています。
介護施設で働いていると、利用者様と長い時間を一緒に過ごすことがあります。
毎日顔を合わせ、会話をし、生活を支える。
そうした関係の中で、利用者様とのお別れを悲しく感じるのは自然なことだと思います。
ただし、職員としての役割も忘れてはいけません。
ご家族より先に感情的になりすぎたり、必要な対応ができなくなるほど取り乱したりすることは避ける必要があります。
悲しみを感じることと、専門職としての役割を果たすこと。
その両方を大切にしてほしいと思っています。
最後のお見送りで大切にしていること
ご遺体が施設を出発されるとき、私はできる限り最後までお見送りするようにしています。
利用者様には、
「〇〇様、ありがとうございました。」
と感謝を伝えます。
そして、ご家族には、
「最期まで大切な時間をご一緒させていただき、本当にありがとうございました。」
とお伝えすることがあります。
最後のお見送りは、利用者様だけでなく、ご家族にとっても大切な時間です。
だからこそ、慌ただしい雰囲気にならないよう、落ち着いた対応を心がけています。
特別な演出が必要だとは思いません。
最後まで、その方らしく、尊厳を持ってお送りすること。
それが大切なのではないでしょうか。
施設長として職員に伝えたいこと
介護施設で働いていると、利用者様の人生の最期に関わることがあります。
それは、決して当たり前のことではありません。
ご本人が歩んでこられた人生があり、ご家族と過ごされた時間があります。
そして、私たち職員との関わりも、その人生の一部になっています。
だからこそ、私が職員に伝えたいのは、利用者様への敬意を忘れないでほしいということです。
言葉遣いやマナーは、もちろん大切です。
しかし、それだけで十分ではありません。
利用者様が歩んでこられた人生を尊重すること。
ご家族の思いに寄り添うこと。
そして、最後まで一人の人として大切に接すること。
そうした姿勢が、日々の声かけや対応に表れるのだと思います。
新人職員の中には、初めての看取りで戸惑う方もいるでしょう。
何を話せばよいのか分からず、不安になることもあると思います。
そんなとき、無理に立派な言葉を探す必要はありません。
相手の気持ちを尊重し、誠実に向き合うこと。
その姿勢を大切にしてほしいと思っています。
まとめ|ご家族の気持ちに寄り添う声かけを
今回は、介護施設で利用者様が亡くなられたとき、ご家族にかける言葉や、私自身が大切にしている考え方について紹介しました。
ご逝去時の声かけに、絶対的な正解はありません。
しかし、私が大切にしていることは3つあります。
- ご本人やご家族の気持ちを決めつけないこと
- 利用者様が歩んできた人生に敬意を持つこと
- 言葉だけでなく、態度や行動でも寄り添うこと
何を伝えればよいのか分からないときは、無理に言葉を探さなくても構いません。
静かにそばにいることも、相手を思いやる大切な行動です。
介護施設で働く私たちは、利用者様の人生の大切な時間に関わっています。
だからこそ、最期の時間まで、その方らしく穏やかに過ごしていただけるよう、これからも学び続けたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
より良い仕事が、より良い人生をつくる。
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