【施設長が解説】特養の従来型とユニット型の違い|費用・部屋・介護の特徴を比較
こんにちは。特別養護老人ホームの施設長として働いている「施設長のライフノート」です。
特別養護老人ホームを探していると、
「従来型」
「ユニット型」
という言葉を目にすることがあります。
初めて施設を探す方にとっては、
「何が違うの?」
「個室と相部屋の違いだけ?」
「料金が安い方を選んでも大丈夫?」
「結局、どちらが本人に合っているの?」
と迷うのではないでしょうか。
従来型とユニット型では、居室だけでなく、生活する単位や介護を提供する考え方にも違いがあります。
ただし、
「ユニット型だから良い施設」「従来型だから悪い施設」という単純な話ではありません。
大切なのは、それぞれの特徴を理解したうえで、本人の性格や生活スタイル、費用などを考えて選ぶことです。
今回は、介護施設で働いてきた経験と現在施設長として施設運営に携わっている立場から、特養の「従来型」と「ユニット型」の違いを分かりやすく解説します。
この記事はこんな方におすすめ
- 家族の特養入居を検討している
- 従来型とユニット型の違いが分からない
- 特養の費用を比較したい
- 個室と多床室のどちらが合うか迷っている
- 特養を見学するときのポイントを知りたい
特養の「従来型」と「ユニット型」とは?
まず、大まかな違いを理解しておきましょう。
従来型特養とは?
従来型は、施設全体やフロアなど比較的大きな単位で介護を提供する従来からのスタイルです。
居室には、
多床室
従来型個室
などがあります。
そのため、
「従来型=必ず相部屋」ではありません。
ここは旧記事から修正したいポイントです。
ユニット型特養とは?
ユニット型では、少人数の居室と、それに近接した共同生活室を一つの「ユニット」として生活します。
厚生労働省の基準では、ユニット型特養は、入居前の暮らしと入居後の暮らしが連続するよう配慮しながら、各ユニットで入居者が社会的関係を築き、自律的な日常生活を送れるよう支援することが基本とされています。
現行の設備基準では、ユニットの入居定員は原則としておおむね10人以下、15人を超えないものとされています。居室は原則1人で、一定の場合には2人とすることも認められています。
つまり、
「個室+少人数単位での生活」
をイメージすると分かりやすいでしょう。
従来型とユニット型の違いを比較
大まかに整理すると、このようになります。
| 比較項目 | 従来型 | ユニット型 |
|---|---|---|
| 居室 | 多床室・従来型個室など | 原則個室 |
| 生活単位 | 比較的大きい | 少人数のユニット単位 |
| プライバシー | 多床室では確保しにくい場合がある | 確保しやすい |
| 他入居者との距離 | 比較的近い | 少人数で関係をつくりやすい |
| 個別の生活リズム | 施設運営の影響を受ける場合がある | 個別性を重視する考え方 |
| 居住費 | 多床室は比較的抑えやすい | 個室のため高くなる傾向 |
| 向いている人 | 費用を抑えたい、人との交流を好むなど | プライバシーを重視するなど |
ただし、これはあくまで一般的な特徴です。
実際の生活環境やケアの内容は施設によって異なるので、最終的には見学や説明を受けて確認することが重要です。
ユニット型特養のメリット
① 個室でプライバシーを確保しやすい
ユニット型の大きな特徴が個室です。
自分だけの居室があるため、
- 着替え
- 睡眠
- 面会
- テレビを見る
- 一人で過ごす
といった場面でプライバシーを確保しやすくなります。
共同生活であっても、
「一人になれる場所がある」
というのは大きなメリットです。
② 自宅に近い環境をつくりやすい
ユニット型では、自宅で使っていた家具や写真、思い出の品などを居室に持ち込める施設もあります。
厚生労働省の基準解釈でも、ユニット型の居室について、使い慣れた家具などを持ち込むことが想定されています。
施設に入居した瞬間、それまでの生活がすべてなくなるわけではありません。
本人にとって馴染みのある環境をつくることは、新しい生活への適応を考えるうえでも大切です。
③ 少人数で生活する
ユニット型では、比較的少人数の単位で生活します。
そのため、大人数が集まる環境が苦手な方には合う可能性があります。
職員側も少人数の入居者の日常生活を把握しながら支援することを目指します。
ただし、
「ユニット型なら必ず個別ケアができる」
とまでは言えません。
職員配置や施設の運営状況によって実際のケアには違いがあります。
ユニット型特養のデメリット
① 居住費が高くなる傾向がある
一番分かりやすい違いが費用です。
ユニット型個室は、多床室と比較して居住費が高くなる傾向があります。
厚生労働省の告示でも、居住費に関する区分は「ユニット型個室」「従来型個室」「多床室」などに分けられており、金額設定も異なります。
実際に支払う金額は、施設の設定や所得状況、負担限度額認定の対象になるかなどによって変わります。
そのため、入居前には、
「毎月の総額はいくらくらいになるのか」
を施設に確認することをおすすめします。
特養の居住費・食費を抑えられる制度もあります
特養の費用を考えるときに知っておきたいのが、「介護保険負担限度額認定制度」です。
所得や資産など一定の条件を満たす方は、申請することで特養の居住費や食費の負担が軽減される場合があります。
「ユニット型個室は費用が高そうだから難しい」と最初から諦めるのではなく、まずは制度の対象になるか確認してみることをおすすめします。
負担限度額認定の対象者や申請方法、実際にどのくらい負担が変わるのかについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
👉 【関連記事】介護保険負担限度額認定とは?対象者・申請方法・負担額をわかりやすく解説
② 個室だからこそ一人で過ごす時間が増えることもある
一人で過ごせることはメリットですが、本人の性格によってはデメリットにもなります。
居室で過ごすことを好む方の場合、人との交流が少なくなる可能性があります。
だからこそ、
「個室だから安心」
だけではなく、
日中どのように過ごしているのか
まで見学時に確認してみてください。
従来型特養のメリット
① 多床室なら費用を抑えやすい
従来型の大きなメリットの一つが費用です。
特に多床室は、ユニット型個室と比較すると居住費を抑えやすくなります。厚生労働省の居住費に関する区分でも、ユニット型個室と多床室は別区分として設定されています。
特養は短期間利用するとは限りません。
長期間生活する可能性を考えると、
毎月数千円・数万円の違いが長期的には大きな差になる
こともあります。
施設選びでは、本人や家族が無理なく支払い続けられるかも重要なポイントです。
② 人の気配を感じやすい
多床室の場合、同じ部屋に他の入居者がいます。
一人でいることを寂しいと感じる方にとっては、人の気配があることが安心につながる場合があります。
また、比較的大きな生活単位で過ごす施設では、他の入居者と接する機会が多いこともあります。
ただし、人との交流を好むかどうかは個人差があります。
「賑やかな方がいい人」と「静かに過ごしたい人」では、合う環境が違います。
従来型特養のデメリット
① 多床室ではプライバシーを確保しにくい
多床室では、同じ部屋で複数の入居者が生活します。
カーテンなどで仕切ることはできますが、個室と同じ環境にはなりません。
生活音や話し声などが気になる方もいるでしょう。
特に、
- 一人で静かに過ごしたい
- 睡眠が周囲の音に影響されやすい
- プライバシーを重視したい
という方は、入居前に実際の居室を確認しておくことをおすすめします。
② 生活時間が集団の影響を受ける場合がある
従来型では、比較的大きな単位で介護を提供するため、食事や入浴などが一定のスケジュールで動いている施設もあります。
ただし、これも施設によって大きく異なります。
従来型であっても個別性を重視したケアに取り組んでいる施設はあります。
そのため、
「従来型=一律の集団ケア」
と決めつけないことも重要です。
結局、従来型とユニット型のどちらがいい?
ここが一番気になるところだと思います。
私の考えは、
「どちらが優れているかではなく、本人にどちらが合っているか」
です。
例えば、
ユニット型を検討しやすい方
- 一人の時間を大切にしたい
- プライバシーを重視したい
- 自分の家具などを持ち込みたい
- 大人数の環境が苦手
- 居住費が高くなっても個室を希望する
従来型の多床室を検討しやすい方
- 費用をできるだけ抑えたい
- 一人になると不安を感じる
- 人の気配がある方が安心する
- 相部屋への抵抗が少ない
などが一つの目安になります。
ただし、部屋のタイプだけで施設を決めることはおすすめしません。
施設長として「ここを見てほしい」と思うポイント
私が家族の施設を選ぶとしたら、従来型かユニット型かだけでは判断しません。
むしろ見たいのは、
- 職員が入居者にどう声をかけているか
- 入居者の表情
- 居室や共有スペースの清潔さ
- 職員同士の雰囲気
- 日中どのように過ごしているか
- 食事や入浴などの生活リズム
- 面会のルール
- 医療・看護体制
- 看取りへの対応
- 毎月かかる費用
といったところです。
厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」では、全国の介護事業所についてサービス内容などの情報を検索・比較できます。施設探しの情報源の一つとして利用できます。
設備の新しさや個室かどうかだけでは、施設のケアの質までは分かりません。
可能であれば実際に見学し、自分の目で確認することをおすすめします。
まとめ|「従来型かユニット型か」だけで施設を選ばない
従来型とユニット型には、それぞれ特徴があります。
ユニット型は、個室でプライバシーを確保しやすく、少人数単位で生活することを基本としています。
一方、従来型の多床室は居住費を抑えやすく、人の気配を感じながら生活することが合う方もいます。
重要なのは、
「ユニット型と従来型のどちらが上か」ではありません。
本人がどんな生活を望んでいるのか。
どんな環境なら安心できるのか。
家族として費用を無理なく負担できるのか。
そして、その施設では実際にどのようなケアが行われているのか。
そこまで確認して選ぶことが大切です。
特養は、入居すると長く生活する場所になる可能性があります。
だからこそ、「部屋を選ぶ」のではなく「これから生活する場所を選ぶ」という視点で考えてみてください。

