こんにちは!

「施設長のライフノート」です。

私は現在、特別養護老人ホーム(特養)で施設長をしています。

今回は、「機能訓練指導員ってどんな仕事?」というテーマでお話しします。

皆さんは、機能訓練指導員という職種をご存じでしょうか?

介護施設で働いている方なら、一度は耳にしたことがあるかもしれません。

しかし、「具体的にどんな仕事をしているの?」「理学療法士や作業療法士とは違うの?」「どんな資格が必要なの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

実は私自身、柔道整復師の資格を持ち、これまでデイサービスと特養の両方で機能訓練指導員として働いてきました。

今回は、当時の経験を振り返りながら、機能訓練指導員の仕事内容や必要な資格、デイサービスと特養での働き方の違いについて紹介します。

これから機能訓練指導員を目指す方はもちろん、現在働いている方や、一緒に仕事をしている介護職員の方にも参考になれば幸いです。

📝 施設長ノート

機能訓練指導員は、単に運動やリハビリを行うだけの職種ではありません。

利用者の「できること」を守り、日常生活の中でその力を発揮できるよう支援する仕事です。

現在は施設長という立場ですが、機能訓練指導員として働いた経験は、今の施設運営にも大いに役立っています。

特に、介護職員との連携がどれほど重要なのかを学べたことは、私にとって大きな財産です。

それでは、詳しく見ていきましょう!


機能訓練指導員とは?

機能訓練指導員とは、高齢者が日常生活を送るために必要な身体機能や生活機能の維持・向上を支援する専門職です。

介護保険制度では、日常生活に必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する人として位置づけられています。

例えば、次のような支援を行います。

  • 自分でベッドから起き上がれるようにする
  • トイレまで安全に移動できるようにする
  • 車椅子に安定して座れるようにする
  • 食事や着替えなどの動作を維持する
  • 転倒や身体機能の低下を予防する

ここで大切なのは、単に筋力をつけたり、歩行距離を伸ばしたりすることが目的ではないという点です。

「その人がどのような生活を送りたいのか」

その希望を実現するために、必要な機能を維持・向上させていくことが機能訓練指導員の役割だと私は考えています。

機能訓練指導員と理学療法士・作業療法士の違い

機能訓練指導員は、国家資格の名称ではありません。

介護施設などで機能訓練を担当する職種の名称です。

そのため、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)だけでなく、柔道整復師や看護師なども、資格要件を満たせば機能訓練指導員として働くことができます。

私自身も、柔道整復師として機能訓練指導員の仕事をしていました。

機能訓練指導員になるために必要な資格

機能訓練指導員として働くには、原則として以下のいずれかの資格が必要です。

  • 理学療法士(PT)
  • 作業療法士(OT)
  • 言語聴覚士(ST)
  • 看護師・准看護師
  • 柔道整復師
  • あん摩マッサージ指圧師
  • はり師・きゅう師(一定の実務経験要件あり)

はり師・きゅう師については、所定の資格を持つ機能訓練指導員が配置された事業所で、6か月以上機能訓練指導に従事した経験などが必要です。

なお、実際の配置基準や加算の算定要件は、施設・サービスの種類によって異なります。

柔道整復師でも機能訓練指導員として働ける?

もちろん働けます。

私は柔道整復師の資格を持っていますが、これまで機能訓練指導員として働く中で、資格を理由に不利だと感じたことはほとんどありませんでした。

ただし、少し面白い経験もあります。

特養で働いていた頃、入居者や職員からよく「OTさん」と呼ばれていました。

最初の頃は、

「いや、私は柔道整復師なんですけどね(笑)」

と訂正していました。

しかし、あまりにも頻繁に呼ばれるので、途中から訂正することも少なくなってしまいました。

それだけ、特養では「機能訓練指導員=OT」というイメージを持っている方もいたのかもしれません。

もちろん、PT・OT・柔道整復師など、それぞれの資格には専門性や得意分野があります。

私もこれまで多くのPT・OTの方と一緒に働いてきましたが、それぞれから学ぶことがたくさんありました。

ただ、介護施設で働くうえでは、専門知識だけでなく、利用者の気持ちに寄り添う姿勢や、多職種と連携するコミュニケーション能力も非常に重要だと感じています。

病院で豊富な経験を積んだ専門職であっても、生活の場である特養の働き方に慣れるまで時間がかかることがあります。

逆に、介護施設の特性を理解し、介護職員とうまく連携できる方は、現場でも大きな力を発揮していました。

資格ごとの専門性を尊重しながら、利用者の生活を支えるという共通の目標を持つことが大切だと思います。

機能訓練指導員の主な仕事内容

機能訓練指導員の仕事は、単に利用者へ運動を指導するだけではありません。

主な業務には、以下のようなものがあります。

① 身体機能や日常生活動作の評価

利用者の身体機能や生活状況を確認します。

例えば、歩行、立ち上がり、寝返り、移乗、座位姿勢、関節の動きなどです。

また、身体機能だけでなく、本人が日常生活で何に困っているのかを把握することも重要です。

② 機能訓練計画書の作成

利用者の状態や希望を踏まえて、機能訓練の目標と内容を考えます。

「歩行能力を改善する」という目標だけでなく、「居室から食堂まで安全に移動できるようになる」など、生活につながる目標を設定することが大切です。

③ 個別機能訓練・集団体操の実施

利用者の状態に応じて、個別の機能訓練や集団体操などを行います。

ただし、機能訓練の実施と、介護報酬上の「個別機能訓練加算」の算定は別の話です。

加算を算定する場合は、計画作成、実施体制、評価など、それぞれのサービスに定められた要件を満たす必要があります。

④ 介護職員への助言・指導

私が特養

で働く中で、特に重要だと感じた業務の一つです。

例えば、次のような内容です。

  • 安全な移乗方法の提案
  • 車椅子の選定や座位姿勢の調整
  • ベッドの高さや環境の調整
  • 残存機能を生かした介助方法の共有
  • 転倒予防に向けた助言

機能訓練指導員が直接関わる時間には限りがあります。

だからこそ、日常的に利用者と関わっている介護職員との連携が欠かせません。

デイサービスで働く機能訓練指導員の仕事内容

ここからは、私自身の経験を紹介します。

まずはデイサービスです。

デイサービスでは、利用者が自宅で生活を続けられるように支援することが大きな目的になります。

私が勤務していた事業所では、利用者に直接機能訓練を行う時間が比較的多くありました。

デイサービスで実際に行っていた業務

主な業務の流れは、以下のとおりです。

  1. 利用者宅を訪問し、生活状況や課題を確認する
  2. 身体機能や日常生活動作を評価する
  3. 機能訓練計画書や各種チェックシートを作成する
  4. 本人・家族に計画を説明し、同意を得る
  5. 計画に沿って機能訓練を実施する
  6. 定期的に評価を行う
  7. 本人・家族・ケアマネジャーなどに訓練状況を報告する
  8. 必要に応じて計画を見直す

私が働いていた頃は、3か月ごとの評価を一つの区切りとして業務を進めていました。

なお、制度上必要な評価・居宅訪問・説明などの頻度は、算定する加算や適用される基準に従う必要があります。

自宅を訪問することで分かることがある

デイサービスで特に印象に残っているのが、利用者の自宅を訪問する業務です。

施設内では問題なく歩けている方でも、自宅では段差があったり、廊下が狭かったりして、移動に苦労していることがあります。

実際の生活環境を確認することで、訓練の目的がより明確になります。

「歩行距離を伸ばすこと」よりも、「自宅のトイレまで安全に行けること」の方が、本人にとって重要な場合もあります。

デイサービスは時間との勝負

デイサービスで働いていた頃は、とにかく1日があっという間でした。

利用者が施設に滞在している時間は限られています。

その中で機能訓練を実施し、記録を作成し、必要に応じて送迎の添乗や入浴・排泄介助なども担当していました。

また、利用者や家族からは、

「もっと歩けるようになりたい」

「一人で買い物に行きたい」

「自宅のお風呂に入れるようになりたい」

といった具体的な希望を聞くことも多くありました。

その希望に応えたいと思う一方、限られた時間で成果を出す難しさも感じていました。

特養で働く機能訓練指導員の仕事内容

次に、特養での仕事内容について紹介します。

特養は、利用者が日常生活を送る場所です。

そのため、デイサービスとは少し違った視点が必要になります。

私が勤務していた特養では、直接的な機能訓練だけでなく、介護職員と連携した生活リハビリや、福祉用具・生活環境の調整などが重要な業務でした。

特養で実際に行っていた業務

主な業務は以下のとおりです。

  1. 入居前の情報収集
  2. 機能訓練計画書の作成
  3. 本人・家族への計画説明
  4. 入居時の身体機能・ADL評価
  5. 車椅子やベッドなどの選定・調整
  6. 介護職員への介助方法の助言
  7. 個別訓練や集団体操の実施
  8. 定期的な評価と計画の見直し

入居時には、できるだけ早い段階で身体機能や起居動作を確認し、介護職員へ必要な情報を共有するようにしていました。

特に、移乗方法や車椅子の選定は、その後の生活に大きく関わります。

特養では生活リハビリが重要

特養で働く中で、特に大切だと感じたのが「生活リハビリ」です。

生活リハビリとは、日常生活の動作を通して、現在持っている能力をできるだけ維持・活用していく考え方です。

例えば、自分で立ち上がる力が残っている方に対して、毎回すべてを介助してしまうと、その力を使う機会が減ってしまいます。

もちろん、転倒の危険性や体調などを考慮する必要があります。

しかし、安全を確保したうえで、本人ができることを続けてもらうことも大切です。

ここで重要になるのが介護職員との連携です。

機能訓練指導員が1日数十分関わるだけでは、生活全体を支えることはできません。

日常的に関わる介護職員と目標を共有し、生活の中で無理なく取り組めるようにすること。

これが特養で働く機能訓練指導員の大切な役割だと感じました。

機能訓練以外の業務も多かった

私が勤務していた特養では、機能訓練以外にもさまざまな業務を担当していました。

例えば、

  • クラブ活動の開催
  • 施設イベントの企画・運営
  • 職員向け研修
  • 各種委員会への参加
  • 受診時の送迎対応
  • 現場が忙しいときの介護業務の支援
  • 施設の情報発信

などです。

もちろん、これらはすべての施設で機能訓練指導員が担当する業務ではありません。

ただ、私の場合は幅広い仕事に関わる機会がありました。

大変なこともありましたが、介護現場が好きだったので、利用者と関わる時間は苦になりませんでした。

一方で、書類作成については「もう少し効率化できないかな」と感じることも多かったです(笑)。

デイサービスと特養の違いを比較

私の経験をもとに、デイサービスと特養の違いをまとめてみました。

比較項目 デイサービス 特養
主な目的 在宅生活の維持・向上 施設生活での機能維持・生活支援
直接訓練 比較的多かった 必要に応じて実施
生活環境の確認 自宅環境が重要 居室・施設内環境が重要
介護職員との連携 必要 特に日常生活の中で重要
私が感じた特徴 時間に追われやすい 業務範囲が広くなりやすい

※私が勤務していた施設での経験に基づく比較です。施設によって業務内容は異なります。

個人的には、業務の幅が広かったのは特養、時間に追われることが多かったのはデイサービスという印象です。

どちらにも違った難しさとやりがいがありました。

機能訓練指導員として働いて大変だったこと

本人と家族の希望が違うこともある

特養で働いていた頃、本人と家族の希望が一致しない場面がありました。

本人は、

「もっと歩けるようになりたい」

「元気になりたい」

と希望している一方で、家族は転倒や骨折を心配していることがあります。

以前、家族から「あまり無理をして運動しなくてもいい」という意見を聞いたこともありました。

もちろん、すべての家族がそう考えているわけではありません。

ただ、本人の希望と家族の不安の両方を受け止めることは、簡単ではありませんでした。

機能訓練を進める際には、本人の意思を尊重しながら、身体状況や安全面を踏まえて丁寧に説明することが重要だと感じました。

訓練と書類作成の両立

もう一つ大変だったのが、書類作成です。

機能訓練計画書、評価記録、各種チェックシートなど、作成する書類は少なくありません。

もちろん、記録は利用者の状態を共有したり、継続的な支援を行ったりするために必要です。

ただ、同じような内容を何度も記載する場面では、効率化の余地があるのではないかと感じていました。

現在は施設長として働いていますが、この経験があるからこそ、職員が書類作成に追われすぎず、利用者と関わる時間を確保できる環境をつくりたいと考えています。

機能訓練指導員に向いている人とは?

私がこれまで働いてきた中で、機能訓練指導員に向いていると感じるのは、次のような人です。

利用者の気持ちに寄り添える人

専門知識はもちろん大切です。

しかし、それ以上に「本人がどうしたいのか」を理解しようとする姿勢が必要だと感じています。

一方的に訓練を進めるのではなく、本人の希望や不安を聞くことが大切です。

多職種とのコミュニケーションが取れる人

特に介護施設では、他職種との連携が欠かせません。

介護職員、看護職員、相談員、ケアマネジャーなど、それぞれの専門性を生かして支援する必要があります。

自分の考えを伝えるだけでなく、相手の意見を聞くことも重要です。

利用者の生活全体を考えられる人

筋力や関節の動きだけでなく、日常生活の中で何に困っているのかを考えられる人は、介護施設の機能訓練指導員に向いていると思います。

「歩けるようになった」という結果だけでなく、「歩けるようになったことで何ができるようになったのか」まで考えることが大切です。

施設長になった今、機能訓練指導員について思うこと

現在、私は特養の施設長として働いています。

機能訓練指導員として直接利用者に関わっていた頃とは、仕事内容も責任も大きく変わりました。

それでも、当時の経験は今の仕事に生きています。

特に感じるのは、機能訓練指導員は、専門的な知識と日常の介護をつなぐ重要な存在だということです。

例えば、機能訓練指導員が適切な移乗方法を提案しても、それが介護現場で実践されなければ意味がありません。

反対に、介護職員が日常の中で気づいた小さな変化が、機能訓練の見直しにつながることもあります。

だからこそ、機能訓練指導員と介護職員が、お互いの専門性を尊重しながら協力できる環境が必要です。

また、機能訓練指導員には、直接的な訓練以外にも幅広い業務が求められることがあります。

施設長としては、専門職としての役割を明確にし、その力を十分に発揮できる職場環境をつくることも大切だと考えています。

機能訓練指導員として現場で働いていた頃には見えなかったことも、管理職になった今だからこそ見えてきました。

一方で、現場で働いた経験があるからこそ、忘れてはいけない視点もあると思っています。

まとめ|機能訓練指導員は介護現場に欠かせない存在

今回は、機能訓練指導員の仕事内容や必要な資格、デイサービスと特養での違いについて紹介しました。

機能訓練指導員は、単に運動や体操を行う仕事ではありません。

利用者の身体機能や生活状況を評価し、本人の希望を踏まえながら、日常生活を支える専門職です。

私自身、デイサービスと特養の両方で働いてきましたが、どちらにも違ったやりがいがありました。

そして現在、施設長になって改めて感じるのは、機能訓練指導員は介護現場になくてはならない存在だということです。

利用者と直接関わることはもちろん、介護職員や他職種との連携を通して、施設全体のケアの質を高める役割も担っています。

これから機能訓練指導員を目指す方には、ぜひ専門知識だけでなく、利用者の生活に寄り添う姿勢も大切にしてほしいと思います。

私も施設長として、機能訓練指導員を含めた専門職が働きやすく、力を発揮できる施設づくりを続けていきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

より良い仕事が、より良い人生をつくる。