施設長になって感じた「職員が動かない問題」|伝えるだけでは組織は変わらない
こんにちは!
「施設長のライフノート」です。
私は現在、特別養護老人ホームで施設長をしています。
今回は、「何度伝えても職員が動いてくれない」という管理職の悩みについてお話しします。
皆さんは、仕事の中でこんな経験はありませんか?
- 朝礼で何度も伝えているのに、なかなか実行されない
- 期限を設けてお願いしても、対応が進まない
- 個別に声をかけても、同じことを繰り返し伝える必要がある
- 結局、管理職が確認や催促をすることになる
私自身、施設長として働く中で、こうした場面を何度も経験しています。
そして最近、ある出来事をきっかけに、自分のマネジメントについて考えさせられました。
それは、職員のストレスチェックです。
何度も朝礼で呼びかけ、個別にも声をかけていたのですが、思うように回答が進みませんでした。
正直なところ、
「これだけ伝えているのに、どうして進まないんだろう?」
と感じてしまったのです。
しかし、少し考えてみると、問題は職員だけにあるわけではないのかもしれません。
今回は、この経験から感じたことと、管理職として今後どのように行動していきたいかをお話しします。
📝 施設長ノート
管理職が「伝えたこと」と、職員が「理解して行動できること」は別です。
何度も同じことを伝えていると、つい「どうしてやってくれないんだろう」と考えてしまいます。
しかし、管理職の仕事は、お願いすることだけではありません。
職員が行動しやすい環境や仕組みをつくることも、管理職の大切な役割だと感じています。
何度伝えても職員が動かない。施設長として感じた悩み
最近、施設内でストレスチェックを実施する機会がありました。
私は朝礼のたびに、職員へ回答をお願いしていました。
「まだ回答していない方は、期限までにお願いします」
「職場のパソコンやタブレットからも回答できます」
「未回答の方は、早めに対応してください」
このような内容を、繰り返し伝えていました。
さらに、必要に応じて個別に声をかけることもありました。
しかし、回答率はなかなか上がりません。
ある時点では、回答が完了していた職員は全体の6割程度でした。
朝礼で何度も伝え、個別にもお願いしている。
それでも、まだ多くの職員が回答していない。
正直、少し疲れてしまいました。
「ストレスチェックの回答をお願いしている自分が、一番ストレスを感じているんじゃないか?」
そんなことを冗談交じりに考えたほどです(笑)。
ただ、ここで改めて考えました。
本当に、職員が協力してくれないことだけが問題なのだろうか、と。
※ストレスチェックの受検には本人の意思が尊重されるべきであり、回答を強制するものではありません。今回の記事は、制度の受検強制ではなく、職員への周知や案内の進め方について振り返るものです。
「何度も伝えた」は管理職側の事情かもしれない
管理職になると、職員にさまざまなことを伝える機会が増えます。
感染対策、研修、書類の提出、勤怠管理、施設内のルールなど。
特養では多くの職員が交代勤務で働いているため、全員に情報を伝えること自体が簡単ではありません。
私はこれまで、朝礼で繰り返し周知することを大切にしてきました。
一度だけ伝えても、全員に届くとは限らないからです。
この考え方自体は、今でも間違っていないと思っています。
ただし、繰り返し伝えていれば、それだけで十分なのか。
今回の出来事を通して、そこに疑問を持つようになりました。
朝礼で伝えても、全員が聞いているわけではない
介護施設では、早番、日勤、遅番、夜勤など、勤務時間が異なります。
朝礼に参加できない職員もいます。
また、参加していたとしても、その時の業務状況によっては、十分に内容を理解できていないこともあるでしょう。
管理職からすると、
「昨日も伝えた」
「先週も伝えた」
「何度もお願いしている」
と思うかもしれません。
しかし、職員からすれば、初めて聞いた話だったり、忙しくて後回しになっていたりする可能性もあります。
管理職が何回伝えたかよりも、職員に必要な情報が届いているか。
まずは、その視点を持つ必要があると感じました。
「分かりました」と「実行しました」は違う
職員に何かをお願いすると、
「分かりました」
「あとでやっておきます」
という返事をもらうことがあります。
もちろん、その場では対応するつもりだったのだと思います。
しかし、実際には業務が忙しくなり、忘れてしまうこともあります。
これは私自身にも当てはまります。
施設長として多くの仕事を抱えていると、後回しにしたことを忘れそうになる場面があります。
だからこそ、職員に対しても、意欲だけに頼らない仕組みが必要なのではないかと感じました。
職員が動かない理由を、管理職は理解できているか?
「何度言ってもやってくれない」
そう感じたとき、つい相手の意識や責任感の問題だと考えてしまうことがあります。
しかし、実際にはさまざまな理由が考えられます。
① そもそも情報が届いていない
朝礼や掲示物だけでは、すべての職員に情報が届くとは限りません。
特に夜勤専従職員や勤務日数の少ないパート職員などは、情報を確認する機会が限られることもあります。
情報を伝える手段が一つしかなければ、どうしても伝達漏れが発生しやすくなります。
② やり方が分からない
管理職にとって簡単な作業でも、職員にとってはそうではない場合があります。
例えば、パソコンやスマートフォンの操作に慣れていない職員もいます。
「回答してください」と伝えるだけではなく、
「どこから回答するのか」
「どの端末を使えるのか」
「操作が分からない場合は誰に聞けばいいのか」
まで案内した方が、行動しやすくなるかもしれません。
③ 忙しくて後回しになっている
介護現場は、予定どおりに仕事が進まないことも少なくありません。
入居者の急変、排泄介助、食事介助、転倒対応など、優先しなければならない業務が突然発生します。
職員にとっては、目の前の入居者への対応が最優先になることもあります。
その結果、回答や書類提出などが後回しになる可能性があります。
もちろん、必要な業務には期限を守る責任があります。
ただ、管理職としては、業務量や時間の確保についても考える必要があると思います。
④ 必要性が十分に伝わっていない
「期限までにお願いします」
という言葉だけでは、なぜ必要なのかが十分に伝わっていない可能性もあります。
ただし、今回のストレスチェックは、職員が自分自身のストレス状態に気づき、必要に応じて支援につながるための制度です。
施設側の都合だけで回答を求めるのではなく、制度の目的やプライバシーの保護について、きちんと説明することが大切だと感じました。
管理職が変えるべきなのは「伝え方」だけではない
今回の経験から、私は「もっと強く伝えればよかった」とは考えていません。
むしろ、同じ方法で何度も伝えても状況が変わらないのであれば、管理職側が方法を見直す必要があると思っています。
では、具体的に何を変えればいいのでしょうか。
① 朝礼だけに頼らない
朝礼は、施設全体に情報を共有するための大切な機会です。
ただし、それだけで全職員への周知が完了するわけではありません。
内容によっては、掲示物、個別連絡、業務用の連絡ツールなどを組み合わせる必要があります。
実際、今回のストレスチェックでも、施設内のLINEグループを活用することを考えました。
ただ、ここにも課題があります。
休日の職員に通知が届くことを負担に感じる人もいるでしょう。
また、個人のスマートフォンを業務連絡に使用することへの考え方も、人によって異なります。
便利だからといって、何でもLINEで連絡すればいいわけではありません。
職員の負担やプライベートにも配慮しながら、適切な連絡方法を選ぶことが必要だと思います。
② 職員が行動しやすい環境をつくる
例えば、パソコン操作が必要な作業であれば、使用できる端末を用意する。
操作が分からない職員には、質問できる窓口を設ける。
業務として実施が必要な作業であれば、勤務時間内に取り組めるよう調整する。
こうした環境づくりも重要です。
ただし、ストレスチェックについては、本人の意思による受検であることや、回答内容の秘密が守られることが前提です。
回答するかどうかを含め、職員の意思を尊重する必要があります。
③ 一律の催促ではなく、状況を確認する
何かが進んでいないとき、全員に同じ言葉を繰り返すだけでは、解決しない場合があります。
例えば、ある職員はやり方が分からず、別の職員は時間が取れず、また別の職員は制度について不安を感じているかもしれません。
理由が違えば、必要な対応も変わります。
もちろん、職員一人ひとりにすべての時間をかけることは難しいでしょう。
それでも、「なぜ進んでいないのか」を考えずに、ただ催促を繰り返すことは避けたいと思っています。
施設長の仕事は、自分が動くことではなく組織を動かすこと
施設長になってから、以前よりも強く感じることがあります。
それは、自分一人が頑張っても、施設全体は変わらないということです。
現場で働いていた頃は、自分が行動することで解決できる仕事も多くありました。
しかし、管理職になると、それだけでは対応できません。
職員への周知、研修の実施、感染対策、勤怠管理、事故防止など、どれも多くの職員の協力が必要です。
管理職が一人で声をかけ続け、確認し続け、催促し続ける。
それでは、いつか限界が来てしまいます。
管理職が全部抱え込んではいけない
今回のストレスチェックでも、私は何度も朝礼で伝え、個別にも声をかけていました。
しかし、施設長がすべての職員に対して直接働きかけ続けることが、最も効率的な方法だったのか。
今振り返ると、改善の余地があったと思います。
例えば、各部署のリーダーと情報を共有し、必要な案内を行ってもらう方法もあります。
もちろん、個人情報の取り扱いや本人の意思への配慮は欠かせません。
ただ、施設長一人が抱え込むのではなく、役割を分担するという考え方は、ほかの業務にも共通するものです。
「仕組み」をつくることが管理職の仕事
私は最近、管理職の仕事は「自分が頑張ること」から「組織がうまく動く仕組みをつくること」へ変わっていくのだと感じています。
例えば、
- 誰が担当するのかを明確にする
- 期限や優先順位を共有する
- 必要な情報を確認できる場所を決める
- 進捗を適切に把握する
- うまくいかなければ方法を見直す
こうしたことを積み重ねることで、毎回管理職が声をかけなくても、仕事が進む組織に近づけるのではないでしょうか。
ただし、仕組みをつくればすべて解決するわけではありません。
職員との信頼関係や、日頃のコミュニケーションも同じくらい大切だと思います。
「職員が動かない」と思ったとき、自分に問いかけたいこと
今回の経験を通して、今後は何かが進まないとき、次のことを自分に問いかけたいと思いました。
「本当に、相手だけの問題だろうか?」
伝え方に問題はなかったか。
必要性は十分に説明できていたか。
行動するための環境は整っていたか。
職員の状況を理解しようとしていたか。
自分だけで抱え込んでいなかったか。
もちろん、管理職がどれだけ工夫しても、思うように進まないことはあると思います。
職員にも、それぞれの役割や責任があります。
しかし、だからといって「職員が悪い」で終わらせてしまえば、組織は何も変わりません。
相手に変わってほしいと思うなら、まず自分が変えられることを探す。
今回の出来事から、そんなことを学びました。
まとめ|伝えるだけでは組織は変わらない
今回は、ストレスチェックの周知をきっかけに、施設長として感じた「職員が動かない問題」についてお話ししました。
朝礼で何度も伝えているのに、なかなか状況が変わらない。
そんなとき、私はつい「どうしてやってくれないんだろう」と考えてしまいました。
しかし、改めて振り返ると、管理職として見直せることもあったと思います。
今回、特に感じたのは次の3つです。
- 「伝えた」と「伝わった」は違う
- 職員が行動しやすい環境を整えることも管理職の仕事
- 同じ方法で変わらないなら、管理職自身が方法を見直す
施設長になったからといって、最初から正しいマネジメントができるわけではありません。
私自身、日々悩みながら、試行錯誤しています。
ただ、こうした小さな経験を振り返り、次の行動につなげていくことが、管理職としての成長につながるのではないかと思います。
「何度言っても動いてくれない」と嘆く前に、自分には何ができるのか。
これからも、その視点を忘れずに施設運営に取り組んでいきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
より良い仕事が、より良い人生をつくる。

