介護スキル

夏場の水分摂取の促し方

こんにちは!ゆうき(@youki127)です。

現在、特養の事務次長として働きながら介護系ブロガーとして活動をしています。

今回は、「夏場の水分摂取の促し方」という記事を書きましたので是非ご覧ください。

こんな方に読んでほしい

  • 介護現場で働いている介護士の方
  • 在宅介護を頑張られている介護者の方
  • 高齢医療現場で働く看護師の方

はじめに

暑くなってきましたね。

なんと今年の梅雨明けは、記録が残る1951年以来、関東甲信では最も早かったそうです。梅雨の期間も21日間と最短となりました。梅雨明け前から猛暑日が続いていましたが、より一層暑い日が増えそうです。

気温が上がってくると注意しなければならないのが「熱中症」です!

特に私たちがケアさせて頂いている高齢者の方は、熱中症になりやすいと言われています。

今回は、高齢者ケアの要とも言える水分ケアのコツについて紹介していきたいと思います。

高齢者が熱中症になりやすい理由


まず初めに、私たちが日々ケアしている高齢者の方は、若い方に比べると熱中症になりやすいです。その理由は下記の通りです。

  1. 体温調節の機能が低下している
  2. 体内の水分保有量が少ない
  3. トイレが近くなる・・・と水分摂取を避けがち
  4. のどの渇きを感じにくい
  5. 寒がりな方が多く厚着になりがち

①体温調節の機能が低下している

高齢者の身体は、若い方の身体に比べると体温を調節する機能が低下している傾向にあります。原因は様々ですが、加齢や運動不足により汗腺の機能が低下する為、汗をかきづらいという特徴があります。その為、体温を上手く調節できず、夏は熱中症、冬は低体温症になりがちです。

②体内の水分保有量が少ない

人体に占める水分量の割合は小児で70~80%、成人で60%、高齢者で50%と言われています。高齢者は、水分を蓄えるための筋肉が減少し、身体の中の水分量が少なくなる傾向にあります。

③トイレが近くなる・・・と水分摂取を避けがち

これは、高齢者介護現場のあるあるですね!(笑)

飲めば出さなきゃいけない。→トイレに行くのが億劫→じゃあ飲まなければいい

この無限ループが介護現場では繰り返されています。歳を取るとめんどくさがりになる。他人に下の世話はしてほしくない。当然の考えだとは思いますが、だからと言って水分摂取を拒み続けているとあっという間に脱水になってしまいます。

④のどの渇きを感じにくい

高齢になると加齢の為、脳の「口渇中枢」が減退すると言われています。この機能が減退すると実際には水分が必要な状態であっても喉の渇きを感じにくく結果脱水を引き起こしてしまいます。

⑤寒がりな方が多く厚着になりがち

一般的に高齢の方は若い方に比べて、筋肉量が少なくなります。筋肉は熱を生産する役割や、寒さを防ぐ断熱効果の役割があります。筋肉量が減ることで代謝も落ちるので、熱の生産量が減ります。さたに断熱効果も下がる為寒いと感じやすくなります。

その為、夏場にダウンジャケットを着たり、分厚い半纏を着たりする方が現れたりします。そういった方はより一層熱中症にかかりやすくなってしまいます。

水分が足りないとどうなるの?

  1.  死に至る
  2. 認知症が進行する
  3. 便秘になる

①死に至る

先ほども申し上げた通り、水分は身体の半分を構成する大事なものです。

この大切な水分が不足すると、最悪命を落としてしまう危険性があります。

体から水分が1%の不足:のどの渇き、2%の不足でめまいや吐き気、食欲減退などが現れます。 そして10~12%の不足では筋けいれん、失神、20%の不足では生命の危機になり、死に至ってしまいます。

②認知症が進行する?

上記のように、体内の水分が不足してくると意識レベルの低下が見られます。そうするとせん妄という症状が現れます。せん妄とは、脱水になると高齢者に多く発症する一種の意識精神障害のことを言います。 せん妄は突然発症し、数時間から数週間にわたり症状が継続します。 一見認知症が進行したように見えたりしますが、実は水分不足が原因で、適切に水分補給を行うと症状が改善されたりすることもあります。

③便秘になる

高齢者ケアと切っても切れない関係の「排便」にも水分は非常に関係が強いです。

便は、おおよその成分として、水分70%、食べ物のカス10%、腸粘膜のカス10%、大腸菌などの腸内細菌の死骸10%によって構成されています。その為、水分が不足すると便が固くなり排出しにくくなってしまいます。高齢者は元々筋力も弱くなりやすいので、便が固いと排出することが難しくなってしまいます。

 

水分補給のコツ

それでは今回のポイントでもある水分摂取のコツについてご紹介します。

私達の仕事は人相手の仕事のなので「これが正解!」なんてことはありません。

しかし、「こうすると上手くいくことが多いよ!」という介助は多く存在します。今回は、介護現場で試行錯誤を重ねた結果上手くいった水分介助のコツを5つ紹介していきます。

  1. 個々の好みに合わせる
  2. 「味見してみてくれますか?」
  3. ルールを作る
  4. 数字を明確に
  5. 選択してもらう

①個々の好みに合わせる

自分はどんな飲み物が好きですか?コーヒーが好きですか?紅茶が好きですか?

高齢者の方にも当然ですが好みがあります。それは一人一人違います。

ケアを受ける方が何をどうやってどのコップで飲むのが好きなのか?好みを探ることがとても大切です。炭酸が嫌いな方がコーラを買いますか?コーヒーが苦手な方にブラックのコーヒーを提供して飲んでくれると思いますか?

当然のことではありますが、介護現場では効率化の観点から全員一律の飲み物提供を行っていることが多々あります。

そんな時は思い返してみて下さい。飲み会での最初の1杯。みんな同じものを注文しますか??

②「味見してくれますか?」

人は頼まれると断れないことがよくあります。

単純に「飲んでください!」と言うより「味見してくれませんか?」と頼まれる方が100倍飲んでくれやすいです。頼ってくれているという承認欲求を満たすことが出来ているのかもしれません。特に女性の利用者には味見をお願いするというのはとてもいい方法です。

③ルールを作る

人には集団心理というものが働きます。

「みんなが飲み終わったらレクを始めますね」や「飲み終わったらこのトレーの上に片づけて下さい」など簡単なルールを設ける事で飲んでくれる確率が非常に高まります。

④明確に数字で示してあげる

「あと一口」や「あと1杯」など数字を交えた声掛けをすることで、水分摂取が捗ることがあります。私たちも部活動など運動をしている時もそうでしたよね?あと10球!やあと5回!など具体的な数字を目標にしていた経験があるかと思います。

⑤選択して頂く

「温かいお茶と冷たいお茶どちらが良いですか?」「お茶とカルピスどっちを飲みますか?」のように選択肢を出してご本人に選んで頂く方法です。

人は自分で選択した決断は人に強制されたものよりも素直に取り組めることがあります。

この心理も是非活用したいものですね。

おわりに

今回の記事はいかがでしたか?

今回紹介した水分摂取のコツが一つでも現場で上手くいったら嬉しいです。

水分の必要摂取量は、身体の大きさや活動量、病気や飲んでいる薬の種類などによって様々ですが、一般に1200ml~1500mlが必要と言われています。コップ1杯(200ml)を6~7杯ですね。

一度に多くの量を飲むのは私達だって大変な事です。1日の中でスケジューリングをして提供していきましょう。比較的午前中は喉が渇いている事が多いので、午前中に少し多めに提供するのも効果的かもしれません。

皆様が大切にされている利用者さんが、夏の暑さに負けず元気にお過ごしいただけることを願っております。

本日も、ご覧いただきありがとうございました!