こんにちは。

現役の特別養護老人ホーム施設長として働いている「施設長のライフノート」です。

LIFE関連加算の中でも、比較的取り組みやすい加算の一つが褥瘡マネジメント加算です。

一方で、実際に算定を始めようとすると、

「誰が評価するの?」

「計画は全員分作らないといけない?」

「記録は毎日必要?」

「3か月ごとに何をすればいい?」

「褥瘡マネジメント加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の違いは?」

といった疑問が出てきます。

私自身、施設でLIFE関連加算の運用に関わる中で感じたのは、

加算は、算定要件を満たしながら、いかに現場の負担を増やさず運用できる仕組みを作るかが重要

ということです。

今回は、褥瘡マネジメント加算の基本的な算定要件と、特養で実際に運用する際の流れを、現場目線で分かりやすく解説します。

※この記事は2026年8月時点の制度をもとに作成しています。実際の算定時は、厚生労働省の最新通知・Q&A・自治体の取扱いをご確認ください。


褥瘡マネジメント加算とは?

褥瘡マネジメント加算は、入所者ごとに褥瘡の有無や発生リスクを評価し、多職種で褥瘡予防・改善のためのケアを行い、その結果を継続的に評価する取り組みを評価する加算です。

2026年現在、特別養護老人ホームでは次の2区分があります。

区分 単位数
褥瘡マネジメント加算(Ⅰ) 3単位/月
褥瘡マネジメント加算(Ⅱ) 13単位/月

(Ⅰ)と(Ⅱ)を同時に算定することはできません。

単位数だけを見ると大きな加算ではありません。

しかし、褥瘡予防という利用者様の生活の質に直結する取り組みを、LIFEを活用しながら組織的に行える点に意味があります。


褥瘡マネジメント加算(Ⅰ)の算定要件

大きく整理すると、次の5つです。

① 入所時+少なくとも3か月に1回リスク評価する

入所者ごとに、

  • 褥瘡があるか
  • 褥瘡が発生するリスクがあるか

を入所時に確認・評価します。

その後も、少なくとも3か月に1回評価が必要です。

厚生労働省から「褥瘡対策に関するスクリーニング・ケア計画書」が示されているので、基本的にはこの様式をベースに運用すると分かりやすいです。


② LIFEへ情報を提出し、活用する

スクリーニング結果など必要な情報をLIFEへ提出します。

単に入力して終わりではありません。

LIFEへ提出した情報やフィードバックを、褥瘡管理や計画の見直しに活用することが求められています。

つまり、

評価 → LIFE提出 → ケア → 再評価

というPDCAサイクルを回すことがポイントです。


③ 褥瘡あり・リスクありの方は多職種で計画を作る

評価の結果、

  • すでに褥瘡がある
  • 褥瘡発生リスクがある

と判断された方については、褥瘡ケア計画を作成します。

計画作成には、

  • 医師
  • 看護職員
  • 介護職員
  • 管理栄養士
  • 介護支援専門員
  • その他必要な職種

などが共同して関わることが求められています。

介護福祉施設では、必要な内容が施設サービス計画に明確に記載されていれば、褥瘡ケア計画として扱うことも可能です。


④ 計画に沿ってケアし、定期的に記録する

褥瘡ケア計画に基づいて、

  • 体位変換
  • 除圧
  • ポジショニング
  • 栄養状態の確認
  • 皮膚状態の観察
  • 保湿
  • 排泄ケア
  • 福祉用具の調整

などを実施します。

そして、ケアの内容や本人の状態について定期的に記録することが必要です。

ここで重要なのは、

「週1回記録しなければならない」と国が決めているわけではない

という点です。

元記事では施設ルールとして毎週日曜日に記録していましたが、それは一つの運用方法です。

制度上求められているのは「定期的な記録」です。

そのため、施設内で

「いつ・誰が・どの記録に残すのか」

を決めておくことが重要です。


⑤ 少なくとも3か月に1回、計画を見直す

リスク評価に基づき、褥瘡ケア計画も少なくとも3か月に1回見直します。

ただし、

  • 褥瘡が新たに発生した
  • 状態が悪化した
  • ADLが大きく変化した
  • 食事摂取量が低下した
  • 入院後に状態が変わった

などの場合は、3か月を待たずに必要に応じて見直すべきです。


褥瘡マネジメント加算(Ⅱ)は何が違う?

(Ⅱ)は、(Ⅰ)の要件をすべて満たしたうえで、結果が出ていることを評価する加算です。

2026年現在は、次のいずれかに該当することが要件です。

パターン①

施設入所時に褥瘡があった方について、

その褥瘡が治癒したこと

パターン②

施設入所時に褥瘡発生リスクがあると判断された方について、

褥瘡が発生していないこと

です。

2024年度介護報酬改定で、入所時にすでにあった褥瘡が治癒した場合も(Ⅱ)の評価対象となるよう見直されました。

つまり、(Ⅱ)は、

「褥瘡を予防できた」だけでなく、「入所時にあった褥瘡を治癒させた」成果も評価する

仕組みになっています。


特養での実際の運用例

ここからは、私が施設運営に関わる中で考えてきた、実務として回しやすい方法をご紹介します。

施設規模や介護ソフトによって運用は異なるので、一つの例として参考にしてください。


STEP1 入所時にスクリーニング

新規入所時に、

褥瘡対策に関するスクリーニング・ケア計画書

を使って評価します。

私は、

  • 介護職員
  • 看護職員

を中心に情報を集める形が現実的だと思っています。

皮膚状態だけでなく、

  • ADL
  • 食事摂取
  • 栄養状態
  • 排泄
  • 体位変換
  • 移乗能力

など、褥瘡リスクは生活全体と関係するためです。


STEP2 リスクがある方の計画を作成

リスクがある場合は、多職種でケア内容を検討します。

例えば、

介護職

  • 定期的な体位変換
  • ポジショニング
  • 皮膚状態の観察
  • 排泄後のスキンケア

看護職

  • 皮膚状態評価
  • 創傷処置
  • 医師への報告
  • 必要に応じた受診調整

管理栄養士

  • 食事摂取量
  • 体重変化
  • 低栄養リスク

機能訓練指導員

  • 座位姿勢
  • 車椅子・クッション
  • ポジショニング

ケアマネジャー

  • ケア計画への反映
  • 多職種間の調整

このように、職種ごとの役割を分けておくと、運用しやすくなります。


STEP3 本人・家族へ説明する

褥瘡ケア・マネジメントの対象となる本人または家族へ内容を説明し、同意を得ます。

ここは忘れやすいポイントです。

計画を作ることに集中してしまい、

「説明した記録がない」

という状態にならないように注意します。

例えば支援経過へ、

褥瘡発生リスクについて多職種で評価し、褥瘡ケア計画を作成。本人・家族へ計画内容を説明し、同意を得た。

などと残しておくと分かりやすいです。


STEP4 日々のケアは既存記録を活用する

ここが現場負担を減らす最大のポイントです。

褥瘡マネジメント加算のためだけに新しい記録を大量に作ると、現場が続きません。

例えば、

  • 入浴時の皮膚観察
  • 排泄時の皮膚状態
  • 体位変換記録
  • 食事摂取量
  • 看護記録

など、普段から記録している情報を活用します。

そして施設内で、

「褥瘡管理として何を記録とみなすか」

を統一しておくことが重要です。


STEP5 3か月ごとに評価日を決める

個人的には、

評価月を施設全体で統一する

方が管理しやすいと思っています。

例えば、

  • 4月
  • 7月
  • 10月
  • 1月

のように決めます。

新規入所者は入所時に評価し、その後は施設のサイクルに合わせて管理します。

誰がいつ評価対象なのかを一覧管理すると、抜け漏れが減ります。


STEP6 LIFEへ提出

評価内容をLIFEへ提出します。

2024年度改定では、LIFE関連加算全体で入力項目や提出時期の見直しが行われ、初回提出時期についても他のLIFE関連加算と合わせやすくする改正が行われました。

LIFEは、

「入力すること」が目的ではありません。

提出したデータをもとにケアを振り返ることが制度の本来の目的です。


STEP7 3か月ごとに多職種で見直す

再評価では、

「前回と何が変わったか」

を見ることが重要です。

例えば、

  • 褥瘡が発生していない
  • 発赤が減った
  • 褥瘡が治癒した
  • 食事摂取量が改善した
  • 座位保持時間が延びた
  • リスクが増えた

など。

そして、

  • 計画継続
  • ケア内容変更
  • リスク解除

などを判断します。

この結果を計画や支援経過へ反映します。


加算運用で私が一番大切だと思うこと

LIFE関連加算は、気をつけないと

「書類を作るための仕事」

になってしまいます。

でも本来の目的は、

利用者様の状態を評価し、ケアを改善すること

です。

だから私は、

書類を増やさない

既存の記録を活用する

多職種で評価する

必要なケアだけ変える

という流れが理想だと思っています。

現場職員から、

「また加算のために新しい記録ですか……」

と言われるような仕組みでは長続きしません。


運営指導で確認できるようにしておきたいこと

私は特に次の内容を整理しておきます。

  • 評価をいつ実施したか
  • LIFEへ提出したか
  • 誰が多職種会議へ参加したか
  • ケア計画があるか
  • 本人・家族へ説明した記録があるか
  • 実際のケアが行われているか
  • 定期記録があるか
  • 3か月以内に再評価しているか
  • 計画変更の必要性を検討しているか

「やっています」ではなく、

記録から確認できる状態

にしておくことが重要です。


まとめ|褥瘡マネジメント加算は「仕組み化」が重要

褥瘡マネジメント加算の流れをまとめると、

① 入所時に評価

② リスクあり・褥瘡ありなら多職種で計画

③ 本人・家族へ説明

④ ケアを実施して定期的に記録

⑤ LIFEへ提出

⑥ 少なくとも3か月ごとに再評価

⑦ 計画を見直す

という流れです。

加算単位自体は大きくありません。

だからこそ、

現場の負担を極力増やさず、普段のケアの中に仕組みとして組み込む

ことが重要だと思います。

そして最終的には、

「加算が取れた」

ではなく、

「褥瘡が減った・治った」

という結果につながることが一番大切です。

この記事が、これから褥瘡マネジメント加算を算定する施設や、現在の運用を見直している方の参考になれば嬉しいです。


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