LIFE(科学的介護情報システム)移行の実践ガイド~7月31日期限に向けた進め方
はじめに
2026年度も折り返し地点を過ぎ、皆様の施設でも様々課題に取り組んでいらっしゃると思います。その中でも特に多くの施設長が頭を抱えているのが、LIFE(科学的介護情報システム)への移行です。
当施設でも先日、旧システムからのデータ移行がようやく完了し、現在は新システムへの入居者データ入力の段階に入っています。今回は、この移行プロセスで直面した課題、工夫した点、そして他の施設長が参考にできるポイントをお伝えします。
LIFE移行のスケジュール概要
改めて整理すると、LIFE移行は大きく3つのフェーズに分かれます。
フェーズ1:準備段階(3月~5月)
- LIFE管理者アカウントの設定
- システムへのアクセス権設定
- 既存LIFEからのフィードバック保存
- 施設内での周知・説明
フェーズ2:データ移行段階(6月中旬~7月初旬)
- 旧システムからの既存データの抽出
- データフォーマットの整備
- 新システムへのデータアップロード
- データの正確性確認
フェーズ3:運用開始段階(7月中旬~7月31日)
- 入居者情報の最終確認・補正
- スタッフ向けの操作研修
- 本格運用開始
- 7月31日:期限までの完了
実際の進め方~旧システムから新システムへ~
1. 旧システムでのデータ整理
まず重要なのは、「旧システムのデータをそのままアップロードできるわけではない」という認識です。当施設でも最初はこの点で時間がかかりました。
具体的には以下の作業が必要です:
- 入居者基本情報の確認
氏名、生年月日、性別、入所日、住所などの基本データを一覧化します。特に入所日の日付表記が旧システムとLIFEで異なることがあるので注意が必要です。 - 介護度・要介護認定情報の抽出
最新の要介護度や認定期限をリストアップします。旧システムでは複数の認定記録が残っていることがあり、「どれが現在有効か」の判断が重要です。 - 既往歴・既患・アレルギー情報の整理
これらのフリーテキスト形式の情報は、新システムではカテゴリ化される場合があります。項目形式への変換作業が発生します。
2. データフォーマットの整備
旧システムのエクスポート機能で「そのまま使える」フォーマットになることはまれです。当施設では以下のような整備を行いました。
Excelを活用した中間フォーマット化:
旧システムから抽出したデータをまずExcelにまとめ、以下の作業を実施します:
- 日付形式の統一(YYYY/MM/DD へ)
- 空白セルの確認・補正
- 重複データの削除
- 必須項目の充実
ポイント: この段階で「誰がどのデータを確認するか」の役割分担を決めておくと、後の確認作業がスムーズです。当施設では、ケアマネジャーと事務スタッフで分担しました。
3. 新システムへのデータアップロード
LIFE公式のマニュアルに従い、準備したExcelファイルをアップロードします。
実際のステップ:
- LIFE管理画面へのログイン
- 「施設設定」→「入居者データ管理」を選択
- テンプレートファイルのダウンロード
- テンプレートに合わせてデータを入力
- ファイルのアップロード
- 「データプレビュー」で内容確認
- 「確定」を押して確定
つまずきやすいポイント:
- テンプレートファイルが想定よりも多くの列を要求する
旧システムで管理していなかった項目(例:身体障害者手帳番号、療育手帳番号など)の入力が求められることがあります。「該当なし」の場合でも空白ではなく、特定の記号(通常は「-」や「N/A」)を入れる必要があります。 - 入居者IDの生成
新システムではLIFEが自動採番するIDが存在します。旧システムの独自IDと混同しないよう注意が必要です。 - アップロードのファイルサイズ制限
施設の入居者数によっては、一度のアップロードが失敗することもあります。当施設では複数回に分けてアップロードを実施しました。
4. データの正確性確認
アップロード後は、必ず新システムでのデータを目視確認します。
確認項目:
- 入居者氏名と生年月日
- 現在の要介護度
- 基本的な既往歴
- 緊急連絡先
この確認作業は「施設長と事務スタッフの2名で行う」「1週間以内に完了させる」など、ルールを決めておくと効率的です。
現在進行中:入居者データの詳細入力段階
データのアップロードが完了した現在、当施設では以下の作業を進めています:
詳細情報の補足入力
新システムではアップロード後も、以下の詳細項目の入力が求められます:
- 看護・介護に関する詳細情報
既往歴の詳細(診断日、治療状況など)
アレルギーの詳細(食物アレルギーの具体的な症状など)
服用薬の詳細情報 - ADL・IADL情報
入浴、排泄、食事などの基本動作の自立度
調理、買い物などの手段的日常生活動作の自立度 - 認知機能・精神機能に関する情報
簡易知的機能検査(MMSE)のスコア
行動・心理症状(BPSD)の有無
工夫した点:スタッフの負担を軽減する工夫
これだけの詳細情報を施設長や事務スタッフだけで埋めるのは現実的ではありません。当施設では以下の工夫を行いました:
1. 情報入力の役割分担
- 看護職(栄養士含む) → 医学的情報、服用薬、アレルギー
- ケアマネジャー → ADL/IADL情報、認知機能情報
- 介護職 → 日々の支援で観察される行動・心理症状
各職種の専門知識を活かすことで、入力の正確性が向上します。
2. 入力期限の段階化
最初から「すべてを7月31日までに完成させる」のではなく:
- 7月15日まで :必須項目の入力完了
- 7月25日まで :詳細項目の入力完了
- 7月31日まで :最終確認・修正
このようにマイルストーンを引くことで、プレッシャーを軽減できます。
3. 定期的な進捗確認
週1回(例:毎週月曜)に進捗会議を設定し、「どの入居者の情報入力が完了したか」「困っていることはないか」を確認します。
つまずきやすいポイントと対策
ポイント1:データの整合性
旧システムで記入された日付や情報が「完全に正確」とは限りません。
対策: 新システム入力の際には、「ここは要確認」という項目に印をつける仕組みを作り、看護職やケアマネジャーに確認依頼を出すプロセスを整備します。
ポイント2:入居者本人・家族への説明
多くの入居者や家族は「LIFE」という言葉そのものに戸惑います。
対策: 施設のニュースレターや個別説明会で「LIFE=介護の質を高めるための科学的なシステム」「個人情報は守られる」という点を丁寧に説明することが、後の信頼関係構築につながります。
ポイント3:新旧システムの並行運用期間
完全に新システムに移行するまでの間、旧システムの操作が発生する可能性があります。
対策: 「7月31日まで旧システムは参照のみ、新規入力はしない」などのルールを事前に決め、スタッフに周知しておきます。
おわりに~施設長としての視点~
LIFE移行は、単なるシステム導入ではなく、「科学的介護への転換」を意味する取り組みです。
手間は確かにかかります。当施設でも、事務スタッフ、ケアマネジャー、看護職が密に連携しながら進めています。
しかし、この移行を通じて:
- 施設内のデータ管理体制が整備される
- 各職種の専門知識が可視化される
- 入居者の情報がより体系的に整理される
という成果が期待できます。
7月31日の期限は確実に来ます。焦らず、でも着実に。各職種の力を結集して、スムーズな移行を実現する——それが、施設長としての大切な役割だと感じています。
同じく移行に取り組んでいる施設長の皆さん、一緒に頑張りましょう。

