介護スキル

え?便秘が認知症を引き起こす?

こんにちは!ゆうき(@youki127)です。

現在、特養の事務次長として働きながら介護系のブロガーとして活動をしています。

今回は、「え?便秘が認知症を引き起こす?」という記事を書きました。

皆さんの職場にも、便秘で苦しんでいるご利用者はいませんか?

私の職場にも、一週間以上体内に便をため込んでいる強者のおばあちゃんがいます。

そんなおばあちゃんですが、排便が3~4日溜まってくると決まってイライラしてきます。

優しく声をかけても急に怒り出す。暴言を吐きながらなんだかそわそわして廊下を行ったり来たり。他者とのケンカ勃発も増えてくる。・・・困りますよね(笑)

それが、排便が見られた後は嘘のようにケロッとしている。

この症状って実は便秘が認知症の症状を引き起こしている可能性があります。それでは詳しく説明していきます。

便秘の種類

まず初めに便秘の種類について解説していきます。
便秘と言ってもさまざまな原因があり、その原因によって便秘は分類されています。

ここではその便秘について6種類解説していきます。

  1. 機能性便秘
  2. 器質性便秘
  3. 弛緩性便秘
  4. 直腸性便秘
  5. 痙攣性便秘
  6. 薬剤性便秘

①機能性便秘

自律神経の乱れなどが原因で腸管の緊張がゆるんでしまったり、大腸が機能不全を起こすことによって便秘となってしまうものです。

一般的な便秘は機能性便秘であることが多く、生活習慣を改善することによって自然と治っていくものになります。

②器質性便秘

イレウス(腸の閉塞)、大腸がんや腸管の癒着といった器質的なものが原因の便秘です。

胃や小腸といった消化管の何らかの疾患が原因で起こる便秘になります。
このタイプの便秘は生活習慣の改善などでは治らないため、医療機関での受診が必要になります。

③弛緩性便秘

食物繊維や運動不足のほかに腹筋の力が低下することによって発生する便秘です。

大腸の機能低下によって便が長い間とどまり続けてしまいます。
高齢者のほかにも痩せ型の女性に多くみられ、デスクワークの方がなりやすいという特徴もあります。

④直腸性便秘

便が直腸まで届いているにもかかわらず、便意が起きない便秘になります。

浣腸の乱用などの要因によって排便のリズムが乱れることによって発症します。

高齢者や寝たきりの方が発症するケースの多い便秘ですが、ほかにも痔や便秘を我慢してしまう方も直腸性便秘になってしまうことがあります。

⑤痙攣性便秘

大腸が過剰に緊張し、便を運びにくくなることで起こる便秘です。

職場や家庭でのストレスやリラックスタイムを確保できないことで緊張状態が続くと発症してしまいます。
ほかの便秘と比較して、若い方でもかかりやすい便秘です。

⑥薬剤性便秘

麻薬、抗うつ薬、鉄剤などの薬剤には副作用として便秘があらわれる場合があります。

認知症の方の場合、周辺症状としてうつ病を併発してしまい、その治療として抗うつ薬を服用した副作用として便秘になる場合があるのです。

もし副作用として便秘の症状があらわれた場合、自己判断で服用をやめるようなことはせず、医師に判断をあおぐようにしましょう。

便秘と認知症の関係

認知症の症状と便秘の関係性が高いものを挙げさせて頂きます。是非参考にしてみて下さい。

  • 易怒性が高まる:便が溜まると怒りやすくなる事が多いです
  • 便失禁:下剤を服用することで自分の意図したタイミング以外での排便が出てしまい失禁につながります
  • 不潔行為:上記の失禁を隠そうとタンスに便を片付けたり、手についた不快な便を物や壁や服にこすりつけたりします
  • 徘徊:お腹が痛いけど便が出ない又は残便感があることでトイレを探して歩き続けます

いかがでしょうか?皆さんの施設にもこのような方々はいませんか?

では次に、便秘の具体的な改善策を提案していきます。

便秘を改善する方法

便秘を改善する方法は沢山あり、どの方法がその方に合うかは試してみないと分かりません。

そこで今回は、私自身が介護現場で実際に行ったケアの中で、特に効果が高かったものを6つ紹介させて頂きます。

  1. 水分摂取
  2. 食物繊維の摂取
  3. 運動
  4. アロマ
  5. ホットパック
  6. 腹部マッサージ

①水分摂取



水分不足になると、便が出しづらくなると言われています。

通常の普通便水分量は70~80%と言われています。その為、摂取する水分が減ってしまうと便に含まれる水分も減ってしまい、固い便が出来上がり排出する事が困難になってしまいます。

また、高齢になってくると喉の渇きを感じにくくなったり、夜間のトイレを気にすることで、水分を摂取しないようになります。

さらに認知症の方のなかには、テーブルに置かれている飲み物を「飲み物」だと認識できない場合もあるため、介護者の方から声かけをすることで水分摂取してもらいましょう。

本人が好んでいる飲み物があるなら、それを主におすすめするようにして、たまに他の飲み物をおすすめするという方法もあります。意外と炭酸を好まれる高齢者の方も多い印象です。

もし好みがないという方であれば、乳酸菌を多く含む飲み物を提供したりゴボウ茶やセンナ茶、ルイボスティーなども便秘改善には効果があったので是非お試しください。


②食物繊維の摂取


食物繊維は、水を含むとゲル状になり、便を柔らかくして出しやすくします。 また、善玉菌のエサになり、腸内環境を整える効果も。 さらに、水分や老廃物を吸着し、便のかさを増やして腸のぜん動運動を促すともいわれています。

また、「日本食」というのは欧米の食事に比べると食物繊維が多く含まれています。

しかし、入院を機にペースト食になってしまったりするとせっかくの食物繊維の量が低下してしまいます。咀嚼や嚥下の評価が必用であり、簡単な事ではないと理解していますが、可能な限り「常食」を提供する事で食物繊維を十分に摂取する事が可能です。

それでも不足しがちであれば、粉末タイプの食物繊維があり、飲み物や汁物に溶かすだけで簡単に食物繊維を摂取でき、匂いや味も変わらないのでお勧めです。



③運動(活動量アップ)

日頃の運動不足は腸の働きを鈍らせ、便を押し出すのに必要な腹筋力が低下する原因になります。腹筋運動はもちろん、ウォーキングといった全身運動も腸の働きを高め、腹筋を鍛えるのに効果的です。

少しずつでも構わないので「歩く習慣」を取り入れてみましょう!

私が働く施設でも、やはり普段から車椅子を使っていたり寝たきりの方は、便を排出する筋力が弱く、便秘に苦しんでいる方が多い印象です。

もし少しでも歩くことが可能なのであれば、施設でも「リビングやトイレまで歩く」や「お風呂まで歩く」等の生活の中に歩行を取り入れてみて下さい。

④アロマ

アロマは、私自身取り組むまで半信半疑ではありましたが、試してみた所大変効果があったので紹介させて頂きます。正直効果がありすぎて、ケアするスタッフ側の便通も改善するほどの効果をもたらしました。(笑)

よく効果のあったアロマの種類を載せておきます。

  • オレンジスィート
  • マンダリン
  • ペパーミント
  • ローズマリー
  • レモン

上記のアロマを、就寝前のマクラに吹き付けて就寝して頂くと、翌日の朝に排便が見られることが多かったです。

また、乾燥させたペパーミントの葉っぱをそのままトイレや部屋に吊るす事でも効果が見られましたので、是非お試しください。

職員は、出過ぎにお気を付けください(笑)

⑤ホットパック(温罨法)

ホットパックは、腹部や腰部を温める事で、腸管蠕動の促進や慢性的な排便困難の症状改善に効果があります。また、足湯なども温熱効果で身体が温まり便秘に効果があるようです。
・副作用の報告はほとんどありません。

⑥腹部マッサージ

大腸の蠕動運動の方向に沿って、「の」の字を描くように、おへその下→右下腹部→おへその上→左下腹部と、時計回りに、手のひらで、1~2cmくらい、沈むくらいの力加減で、指圧しながら、円を描くように10回押します。

排便体操(臥位プログラム)|高齢者のための排便体操|排便ケアの実践|排便ケア|排泄ケア 実践編 - 排泄ケアナビ | ユニ・チャーム

上記のホットパック後に腹部マッサージを行う事で、更に効果が高まります。

下剤の悪影響

高齢者と下剤は切っても切りきれない関係にあります。

新しく入居された高齢者には、必ずと言って良いほど下剤が処方されています。

便秘を解消してくれる効果をもつ下剤ですが、副作用もあります。

下剤の副作用

  • 自分の意図したタイミングで排便が出来ない
  • 急激な腹痛
  • 水分摂取が少ないと効果が薄れる下剤がある
  • 薬に慣れてきてしまい徐々に出なくなる

下剤は、上記のような副作用があります。

下剤を使わずに排便を促せるような取り組みがとても大切になります。

ただ、持病や疾患によっては、排便の際にいきむ事が禁忌だったり(脳出血・高血圧等)、イレウス(腸閉塞)の既往がある方は、定期的に緩い便を出すことが大切であり、便秘になってしまうと命の危険も考えられる為、下剤の検討が必要です。

是非主治医の先生と相談してみて下さい。

まとめ

  1. 便秘には6つの種類がある
  2. 便秘が原因で認知症の周辺症状を引き起こしたり悪化させることがある
  3. 便秘改善には沢山のアプローチがある
  4. 下剤はなるべく使わずに排便を促したいが必要な方もいる

今回、紹介した改善方法はほんの一例ですが非常に効果の高いものを厳選してご紹介しました。是非施設やご自宅で試してみて下さい。

また、便秘が原因の認知症状は、排便記録をとることによって分かりやすくなります。

水分や食事量はどれぐらい摂取しているか?

活動量はどのくらいあるのか?

便が何日溜まるとどんな症状が見られるのか?

何の下剤をどれくらい飲んでいるのか?

など沢山の観察ポイントがあります。また、施設では、一人の入居者をずっと毎日観察できる訳ではないと思います。他の職員としっかり情報共有をして、便秘改善に取り組んでみて下さい。

しっかりとした研修がある職場で働こう!

今回お話しさせて頂いた便秘の知識もそうですが、しっかりと研修を開催して知識を高めている介護士とそうではない感覚で働いている介護士では、当然ですが入居者の満足度も変わってくると思います。

自身の施設が常に人手不足に嘆き、定期的な研修などが行われていない環境であれば転職を検討しましょう。

人員体制や研修計画を立てられていないのは管理者の責任です。

そういった施設で働いてしまってては、自身の成長スピードが落ちてしまいます。

是非自分の時間を大切にして、成長できる環境に身を置くことを検討してみて下さい。