こんにちは!ゆうきです。
現在特養の事務次長兼介護ブロガーとして活動しています。
今回は、「褥瘡の治し方」について発信していきたいと思います。
この記事を読んでほしい人
- 自分の施設で褥瘡ケアを行っている人
- 自分の家で家族の褥瘡ケアを行っている人
- 施設で「褥瘡研修」を行う予定のある人
結論
それでは、早速結論です。
褥瘡は以下の対応をすることで、未然に防ぐ・治す・再発させないという事が網羅出来ます。是非、ご自身のケアに取り入れてみて下さい。
- 褥瘡の発生原因は持続した圧迫やずれ
- 褥瘡の好発部位は「骨の突出部」
- 対策は、除圧と清潔保持と十分な栄養摂取
褥瘡とは?
褥瘡(じょくそう)とは、一般的に「床ずれ」と呼ばれ、皮膚の圧迫により血流が低下する事が原因でおこります。
自身で身体を動かすことが困難な方が、体重で圧迫されている部分の皮膚に赤みが出たりただれや傷を生じている場合、床ずれが疑われます。
また、汗や失禁で皮膚が汚染されているような湿潤環境や、摩擦やズレといった圧力の刺激も褥瘡を発生させる原因となります。
そのため床ずれは、寝たきりで失禁がみられ、おむつを常に着用している介護が必要な高齢者に発生するリスクが高いとされています。
褥瘡の好発部位
褥瘡は、体重で圧迫されて血流が低下している部分に生じやすい皮膚トラブルです。そのため、皮膚の外側から骨のゴツゴツとした感触を触れることができる骨突出部は褥瘡の好発部位とされます。
特によく発生しやすい部位が「仙骨部」です。仙骨部は、仰向けの状態で過ごす時間が長いとこの部位に発生しやすいです。また、同じく仰臥位で血流低下の影響を受けやすい後頭部や肩甲骨部、かかとにも褥瘡はできやすいです。
次に側臥位での時間が長い場合、「大転子」という足の付け根部分が高リスク部位となります。同じく側臥位では、肩やくるぶしなどの身体の出っ張ったところに圧が集中しやすくなります。
褥瘡の原因と対策
褥瘡の原因には以下のようなものが挙げられます。これらを解消していく事が早期の治癒につながります。
- 摩擦やずれ
- 長時間の圧迫
- 皮膚の乾燥
- 汗や失禁による汚れ
- ふやけ
- マンパワー不足
- 栄養不足
- 持病
- 薬の使用
- 浮腫み
では、上記に対してどんな対策がたてられるでしょうか?私の施設で行っている対策は以下の通りです。よろしければ参考にしてみて下さい。
- 摩擦やずれの除去
①トランス介助時に移乗する位置に気を付ける(臥床後の位置修正を減らす)
②オムツを引き抜かない
③スライディングシートを使う
④後方からの座り直し介助を避ける
⑤便失禁をふき取る時は優しくふき取る又は洗い流す
⑥ベットのギャッチアップ機能を使う時は背抜き(圧抜き)を行う
- 長時間の圧迫を避ける
①2時間に1回は体位交換や座り直し等の除圧介助を行う
②除圧効果の高いマットレスやクッションを使用する
- 皮膚の乾燥やふやけ、汚れを避ける
①入浴後、就寝前に保湿剤(プロペト)を塗布
②褥瘡リスクの高い方には「D-Free」という排泄介護ロボットを活用し、極力汚染している時間を短くする取り組みをする
- マンパワー不足を改善
①ポジショニングのテクニックとしてスモールチェンジを行い、圧がかかる部位を小さな労力で変える
②業務の棚卸を行い、重要度の低い仕事はなくすか後回しにして除圧を優先する
- 栄養不足
①栄養摂取量が低い方は、補食を検討する
②栄養ゼリーやプロテインを摂取することで治癒を促進する
褥瘡の予防方法
褥瘡は、一度発生してしまうと治りにくく、さらに悪化してしまうリスクもあります。そのためなるべく褥瘡が発生しないよう、予防対策が必要です。
褥瘡を予防するためには、骨突出部への圧力がかかり過ぎないようにする必要があります。
同じ体勢で長時間過ごしていると、身体の一部に集中的に圧力が加わってしまいます。皮膚に負荷がかかる時間を短くして圧力を分散させた姿勢を保つことが重要です。
こまめな体位変換や体圧防止寝具を利用して、体にかかる力を分散させましょう。
ベッドで過ごす場合
仰向けや横向きが交互になるよう、基本的には2時間を超えないようにからだの向きを変えることが理想的です。
仙骨部や骨盤の大転子部に発生する褥瘡を予防する体位として、半側臥位(30度側臥位)というものがあります。この体位は、お尻の筋肉で体を支え、ベッドとの接触面積を広くし、かかる圧力を分散することが可能です。
ベッドを起こす際は、角度は30度までにするとズレの防止になるとされています。また、足を少しあげてから頭をあげることによって、仙骨部へのズレの刺激を和らげることができます。
寝ている間も、時折圧力を抜くように抱き起きしたり、背中や腰の下に手を入れて接触している皮膚をベッドから離す背抜きをすることもおすすめです。
座って過ごす場合
車いすなどに長時間座るときは、体圧分散機能のあるクッションを使用しましょう。
また、15分を目安にお尻を浮かせる座りなおしを行うと、圧力を逃がすことができます。車いすに乗っている時間は、長くても2時間くらいまでとし、15分以上横になる休憩をとるといいでしょう。
円座は痔がある方が、患部への接触を避けるためのクッションで、褥瘡の方には適切ではありません。円座を使用すると、円座と接触する皮膚の部分に圧力がかかりすぎでしまうため、使用は避けるようにしましょう。
褥瘡防止の寝具を使う
現在、褥瘡予防のためのさまざまな寝具が開発されています。
エアーマットレスや、ウレタンフォームマットレスなどのベッドマットをはじめ、車いす使用時の体圧分散クッションなど、利用者の状態にあわせて選択できます。エアーマットレスは、自動で体位変換を行う機能があるものも多くあり、介護力の不足が問題となっている在宅療養において、強い味方です。
自宅でこのような体圧分散寝具が必要な場合には、介護保険制度を利用することができる場合もあります。詳しくは医師や看護師、担当のケアマネジャーに相談してみるといいでしょう。
栄養が摂れるように工夫する
痩せている人には褥瘡発生のリスクが高いことはご紹介しましたが、食事の摂取量が少なく低栄養の方は、褥瘡ができやすく、治りにくいとされています。
褥瘡を予防するためには、その方が食べやすい食事の形態や姿勢などを検討して、食事がしやすい環境を整えることも大切です。
一般的に高齢者は摂取カロリーが少なくなる傾向にありますが、褥瘡治癒には治癒には30~35kcal/kgのカロリー摂取が望ましいとされています。
最近、多彩になった市販の介護食は、カロリーやたんぱく質の量が明記されていたり、やわらかく調理されているものが多く、少ない量でも、カロリーやたんぱく質を多く含むメニューを選択することができるため、このようなレトルト食品の活用もおすすめです。
また、工夫しても食事が摂れない場合には、主治医と相談して栄養補助食品の使用を検討してみましょう。
皮膚を清潔にしておく
皮膚が汚染されていると褥瘡ができやすくなります。
おむつで覆われている臀部や下腹部の皮膚は、排泄物や汗でムレやすい状態になっています。
ふやけた皮膚はバリア機能が低下していて、摩擦や圧力などの刺激によって傷つきやすくなってしまうのです。
清潔な皮膚を維持するためには少なくとも1日1回は洗浄しましょう。洗浄後は、しっかりと水分をふき取り、皮膚の乾燥を防ぐための保湿ケアを行うことも大切です。
保湿を兼ねて尿や便を弾いてくれる軟膏も数多く販売されています。
毎日観察する
褥瘡が発生しそうな皮膚の状況を早く発見して、予防ケアを行うことで、褥瘡に発展することを防ぐことができます。そのためにも、毎日皮膚の状況を観察することが大切です。
圧力がかかりやすい仙骨部や大転子部、かかとなどの骨突出部に赤みや熱っぽい様子がみられた場合は、褥瘡の初期症状の可能性があります。
また、皮膚が赤くなって押しても赤みが引かないときや、水ぶくれやただれ、浸出液がみられた場合には、すでに褥瘡になっている可能性も。皮膚の異常を見つけたら、すみやかに主治医や訪問看護師に相談するようにしましょう。